Story 4:The Pathway to Casablanca
 
 登場NPC:
 〈ストームス・イン・アフリカ〉 ギセニィ・アヤー(スワラ:ワーチーター)
 アントニン・ティアドロップ(ランク5スターゲイザー)
 スクラグ×3
 ヴォルテックス
 ロンドン=ワルシャワ=ニューヨーク(ランク1サイレントストライダー)
 ブラック・スパイラル・ダンサー×2
 オーララス×5
 
 展開:
 秋も深まったキャッツキル山脈。峰の頂で、シェナンドーはアントニン・ティアドロップと向かい合ってカイリンドーの稽古に励んでいた。
「遅い! もっと力を抜け!」とティアドロップ。「考えるな、感じるのだ!」
 前回の襲撃から数日、一行はティアドロップ邸で戦いの傷を癒していた。シェナンドーは初歩のカイリンドーの手ほどきを受け(*1)、ピョートルとスナフクはバステトの死体から入手したハカールを自分のフェティッシュとして同調することに成功(*2)。ロンとワッパーはティアドロップの所持する文献資料を読み漁る。またロンは新たにデバイスのアーマライト=ステアーAS-115アサルトライフルを獲得(*3)、ワッパーはヴォルテックスとの「契約」を更新する。
 捕えたスワラ(ギセニィ・アヤー)の処遇を巡っても議論があった。ピョートルは彼女を自分の下僕にしようとするが、魅力に欠けるため判定に失敗。言うことを聞くまで殴ろうとするピョートルを、ワッパーは止めようとする。
「止めてよアルファ! それじゃまるで、ブラックスパイラルダンサーみたいじゃないか」
「何ィ、貴様俺がワームテイントされてるというのかッ!!(胸倉を掴み上げて殴打)」
「ひー」
 その後もピョートルは、彼女にシャドウロードの焼き印を押すなどと言い出して、War of Rageを再来させる気かと全員に止められる。以下、ロンとの会話。
「じゃあ、焼き印は俺の頭文字にしよう。これなら文句はあるまい。П(キリル文字でP)というイニシャルの奴なら幾らでもいる」
「こいつには口があるんだぞ。そんなことをして放すくらいならいっそ殺せ」
「なら、舌を抜けばいいだろう(平然と)」
「(スワラに、ギフトのPersuasion(Lv1)を使いながら)……どうする? ここで死ぬのと、こいつに忠誠を誓うのと、どっちがいい?」
 もはや「良い警官と悪い警官」ですらなく、「悪い警官ともっと悪い警官」である。従属を誓わされてから、ようやくスワラは放免された(かわいそう……)。
 そして、ティアドロップを訪ねたそもそもの目的、地図の鑑定である。古い地図は、今は亡きペルシダー(2話参照)をはじめ、様々な時代の様々な所有者によって書き加えられたと思しいメモや悪戯書きに彩られ、あるいは抹消されている。協議の結果、一行は、地図に記されたホイール・オブ・プター(Wheel of Ptah)のケルンを目指してモロッコに向かうことにした。
「……これは、ストライダーである君に託した方がいいだろうね」ティアドロップがスナフクに地図を渡したので、ピョートルはぷんすか。
 出発する直前に振り向くと、ニューヨークの方角から急速に近付く黒い嵐雲が見えた。不吉な予感を抱きつつ、一行はいつもの通り、ピョートルの先導でアンブラへと「脇に逸れる」。
 
 真っ白な濃霧の中にぼんやりと輝くスピリット・パスを、ルーパス・フォームで駆ける。時折、周囲の霧の中で何かが動く。魔法の小道を外れれば、そこは見知らぬレルムやドメインである。迷いやすいアンブラの中を、一行はロンのナビゲート(*4)によってホイール・オブ・プターへと向かった。
 と、背後の霧の向こうから何かが迫る気配。シェナンドーはHeightened Senses(Lv1)を併用して嗅覚を全開。「小さなやつが10ぐらい、大きいやつが5つぐらいだ」 スナフクのSense Wyrm(Lv1)は濃厚なワームの臭いを伝える。一行は速度を上げて距離を開こうとするが、ワッパーが判定にボッチして迷ってしまう。
 霧に巻かれたワッパーは仲間を探してさまよっていたが、急に目の前が開けたと思うと、現れたのはシェイクスピア劇の舞台。呆気に取られるワッパーの前で、一人の役者が叫ぶ。"Cry Havoc!  Let slip the dogs of war! " そして再び視界は霧に閉ざされる。アンブラを漂う、精霊やドメインになるほどの強さを持たない概念の塊に遭遇したのである。
 ロンはCall of the Wyld(Lv1)を使って吠え、ワッパーと合流。しかしそれは追手に自らの位置を教えることにもなった。彼我の距離が見る見る縮まる。ここでワッパーがヴォルテックスのチャーム、Disorientを発動。アンブラの不安定な地形が変わり、道が逸れる。息を潜める一行の横を、呼吸の音も立てずに疾走する何かの群れの足音と、呼び交わす複数の声が通り過ぎ、去っていった。
 
 無事に追跡者を撒いた一行は、やがて小さな城に辿り着く。崩れた城壁に囲まれた、二階建てに見張り塔がついているだけの古い砦である。正面の扉の閂をロンがControl Simple Machine(Lv1)で外す。ここは何本かのスピリット・パスの交点で、しばしばアンブラを旅する者の中継地点として使われている場所なのだが、シェナンドーとスナフクがかすかなワームの臭いを嗅ぎ付けたため、一行は警戒しながら城へと侵入。しかし、干からびた飼葉のある馬屋を調べているときにシェナンドーがボッチ。床に散らばった乾いた馬の骨を踏み砕いて大きな音を立ててしまう。一瞬空気が張り詰めるが、何かが襲ってくる様子もない。
 気を取り直して玄関ホールを通り過ぎ、横手の扉を開いた途端、一行は2体のスクラグの襲撃を受ける。
 外側に開いた戸口の正面にスナフク、その後ろにシェナンドー、扉の裏にピョートル、後方にロン、ワッパー。ワッパーは左手のスクラグAを銃で撃ち、スナフクは右手のスクラグBを攻撃して逆に戸口の中へと追い込む。ロンは後ろから援護射撃。ピョートルはグランドクレイブで邪魔な扉ごとスクラグAを叩き斬り(なんか、Ron Spenserの絵柄で情景を思い浮かべたのですが)、Rageを消費して新兵器ハカールで追い討ちをかける。更にシェナンドーが遂にカイリンドーを実戦投入。2ターンで大打撃を与えられ、スクラグはどちらもチャームのIncite Frenzyを使用して逃げようとするが果たせず、ズタズタに切り刻まれる。扉の奥の階段で二階に上がると、テーブルや椅子のバリケードで塞がれた戸口の前にいた3体目のスクラグが、怯えて逃げ出す。その背後からロンのAS-115がフルオートで火を噴き、スクラグは消散した。
 バリケードの向こうで、一行は若い女性のサイレント・ストライダーに出会う。名前はロンドン=ワルシャワ=ニューヨーク。アンブラを旅していたが、ベインに目を付けられてこの城に逃げ込み、困窮していたという。助けてもらったお礼に、彼女は自分も行ったことがあるというホイール・オブ・プターへの道案内を申し出る。
 その昼(*5)はこの城で一泊することにして、乾いた床の上で一行は眠る。だがトイレに立ったワッパーくんは、ロンドン=ワルシャワ=ニューヨークに誘惑されて押し倒される。
「で、でも、子供ができたらまずいんじゃ……」
「大丈夫よ、そうそうできるもんじゃないわ」
 そのようなわけで、冷たい石に囲まれて、暗がりの中でそのままむにゃむにゃとリタニーに違反することに(*6)。

 次の夜、旅路についた一行にまたもや追手が迫る。今度は、その気配は背後からだけではない。包囲されているのだ。ワッパーが再びヴォルテックスのDisorientを使い追手を迷わせるが、全員は撒ききれない。モロッコまではあと半日。周囲の視界が利かないスピリット・パス上で戦う愚を避け、しばらく逃げた後、一行は霧の開けた小さな空き地を見つけて敵を待ち構える。
 アンブラの霧の中から現れたのは、地を這うような低い姿勢の、外骨格に身を包んだ獣――オーララス(*7)が5体。そして、凄まじい連射速度と装弾数を誇るマシンピストル、キャリコ950を引っ提げたBSD2体である。
 まず、ピョートルが霧を逆手にとってBSDの背後に回り、1体を一撃で戦闘不能に陥れる。ロンは上空からオーララスを掃射。スナフクはもう一体のBSDを早いうちに仕留めるべくハカールを投擲しようとするがボッチ、そばにいたシェナンドーを殺しかける。シェナンドーはRageを消費してハカールを回避しつつ、カイリンドーでオーララスを攻撃に行く。ワッパーはヴォルテックスの他にパターン・スパイダーを召喚(*8)。残ったBSDはピョートルを攻撃しにいくが、The Falling Touch(Lv1)で転倒させることに成功した他は全くダメージを与えられず、キャリコも役に立てられないまま次のターンには殺されてしまう。
 問題は、オーララスの方であった。オーララスはベインなのだがEmbodyという特殊なチャームを持ち、アンブラでも物質世界でも常に(コストなしで)実体化している。このため、受けたダメージはヘルスレベルではなくPowerから引き、しかもStaminaと+4の外骨格でダメージをソークできるので非常に硬いイヤな敵である。更にBurrowingという特殊なチャームで、地面の中を魚のように泳ぎ、背後から飛び出して襲いかかってくる。これが5体もいたため苦戦したものの、1体が倒れると残りは逃げ出したのでなんとか凌ぎ切ることができた。
 戦闘後、ロンドン=ワルシャワ=ニューヨークは、戦闘に参加しなかったのでピョートルに殴られ、ワッパーに「信じてたのに」と「白面的上目遣いで」睨まれることになる。
 ピョートルは息のあるBSDを拷問する。苦痛の悲鳴の中で、BSDはクイーン・アザエラの名を呪いを込めて口にする。そして追手の数はBSDが6体、オーララスが15体だと口を割り、更にそれを率いるのはピョートルが知っている奴だと言って嗤う。ピョートルはBSDの四肢の腱をハカールの銀の刃で切断して放逐した(*9)。
 追跡者の呼び交わす声が背後に遠ざかるのを聞きながら、一行は道を急ぐ。やがてあちこちから何本ものスピリット・パスが合流しはじめ、蜘蛛の巣のように複雑に交差し、道標なども目につくようになる。道は石や煉瓦の壁に囲まれ、気がつくと、いつしか満月に照らされた街路を歩いている。
 人間たちが動き出した早朝のマーケットの向こうには古いモスク。「あれがホイール・オブ・プターのケルンです」とロンドン=ワルシャワ=ニューヨークが言う。
 モロッコの聖地、カサブランカに着いたのである。

 注釈:
 *1 ……カイリンドーはガルーの使う武術で、風をその象徴とします。創始者がカイリンさんということなので、より正確には「カイリン道」でしょうか。主にスターゲイザーが能くしますが、風と縁が深いウェンディゴにも使い手がいます。特徴は次々と形態を変化させながら攻撃・防御することで、カイリンドラニ(カイリンドーの使い手)の戦闘は実に目まぐるしく、ワッパーくんに「落ち着きがない」と言われました。
 ちなみにシェナンドーのプレイヤーの鯱さんは、自分でPlayer's Guide 2ndを買ってカイリンドーのルールを訳した根性の人です。普通、カイリンドーはそうそう簡単に修得できるものではないのですが、ここまでされたら許可しないわけにはいきませんよね。ティアドロップもオフィシャルでは(笑)カイリンドー持ってませんが、持っててもおかしくないキャラだし。なんだか、キャラクターよりプレイヤーがカイリンドー修得のためのクエストをこなしたみたいです。
 *2 ……バステトのフェティッシュですし、難易度は9と高めに設定。フェティッシュは最初に所有したときの同調判定に失敗すれば使えないのですが、彼らは何の迷いもなくWillpowerを消費して自動的に成功しやがりました。チキショー……ってまあ、当然か(苦笑)。ピョートルは実に嬉しそうに、ハカールにシャドウロードのピクトグラムを刻み込んでました。
 ちなみに、Revisedのルールに従ってクレイブとグランドクレイブはパワーダウン(ダメージダイスが+1/+2)していましたが、今回から+2/+4へ戻しました。理由は二つ、まずハカールがPCサイドに渡ったことで相対的にクレイブの戦術的な価値が更に低下したこと。これだけなら単なるパワーのインフレですが、もう一つ、イヤー・オブ・レコニングに準拠した、この時点で最新のサプリ、Rage Across the Heavensであっさり+2/+4に戻っているのが最大の理由です。それだけレコニングがデッドリィだということでしょうか。わお。
 *3 ……プレイヤーがBook of the Weaverを購入して、Deviceのバックグラウンドの取得を希望していたので1レベル許可したのです。1レベルのデバイスであるAS-115は、275ヤードまで通常距離扱いで撃てるというフザケンナ的アサルトライフルで、連射速度もキャリコ並み。ティアドロップ邸は山の中ですし、ロンがいきなりこんな新しいデバイスを持っているのは不自然と言えば不自然ですが、数日経っていることですし、Resource5もあればニューヨークから運ばせる事だってできるだろうと思って目をつぶりました。何より、ロンは発明家という設定ですし、変なガジェットがごちゃごちゃあった方が面白いです。
 しかしフライトパックとも相俟って、ロンは「一人だけビーストウォーズ・メタルスなやつ」と罵られ、セッションの間中「ビーストモード!」「ビークルモード!」などという益体もない言葉が飛び交う羽目に。ちなみに私は、メタルボディではラットルとタランスが好きです。特にラットルのビークルモードが(萌)。
 *4 ……ロンはOccultをUmbral Loreに専門化しているので、判定の結果、ホイール・オブ・プターへの大体の道筋を知っていることにしました。また、アンブラの描写は、前回のプレイレポートでもちょっと触れたワーウルフ小説The Silver Crownを大いに参考にしています。お勧め。
 *5 ……アンブラでは昼は真っ暗で、夜が明るくなります。これは月や星が出ているからで、ベインなどのワームクリーチャーの動きは、アンブラでは実は昼間の方が活発です。夜になると、ガルーが月の光の下で狩りに出かけるわけです。
 *6 ……リタニー(掟の歌)の一節に「ガルーはガルーと番うべからず」とあるのですが、こんな風にみんな激情に任せて違反しちゃうからメティスがぽこぽこできるのです。他の人はしきりに起きたい起きたいと騒いでましたが、判定の結果みんなぐっすり。よかったね>ワッパーくん。アルファなんかに見られたらあなた、お終いですよ(いろいろと)。
 *7 ……Ooralath。Book of the Wyrm 2ndから持ってきました。イヌ型のヴェロキラプトルみたいな外見だとか。クリーチャーフェチな吉井さん曰く、「かわいいじゃないか」。私もそう思います。
 *8 ……硬いオーララスをウィーバーのチャームで固めるつもりだったようです。賢い戦術ですが、Command Spirits(Lv2)を持っていない哀しさ、交渉の判定に失敗して蜘蛛さんはさっさと帰ってしまいました(やーい)。前回はウェンディゴ・ガフリングの連続召喚などというふざけた真似をしくさったワッパーくんですが、今回から、(ヴォルテックスのように)ちゃんと束縛していない精霊は、一戦闘に一体しか召喚・従属できないという制限を設けました。Command Spiritsを憶えた後も、この制限は同様に作用します。
 *9 ……この拷問にはロンも楽しそうに参加していたような気がします。「胸に銀の刃で"I Love Garou"と刻む」とか。
 
 感想:
 さて、人狼セッションも4回目。パーティの戦力も大分増強されてきているので、今回はその様子見といったところです。お陰でカイリンドー、ハカール、威力の戻ったグランドクレイブ、AS-115の強さがたっぷり実感できました。今回ぐらいの敵では、戦力として全然足りなかったようです。きい、悔しい。
 しかし、相変らずブラックスパイラルダンサーを活躍させられないなあ。ほんとは決して弱くない連中なんですが、もっと強く作ってもいいのかな。ベインフェティッシュとか持たせて。
 オーララスは、トレート的にはそれほどでもないんですが、アーマーもあって滅茶苦茶硬かったです。パワー50もあるし。前から思うんですが、精霊のパワーって多すぎないでしょうか。特にアンブラの中では、ゲーム進行を阻害するほど多いような気が。オーララスみたいな特殊な例を除けば、普通の精霊はダメージソークできませんから、ごりごり削る派手な戦闘をしろということなのかもしれませんが。こんなとき、他の人はどうしてるのかと思ってしまいます。それとも、もしや俺が何か間違っているのか(不安)。
 また今回、ようやく地図を描いて渡すことができました。普通、クロニクルの中心となるアイテムなのだから最初に渡すのが当たり前ですね。申し訳ないです。
 シナリオのタイプとしてはウィルダネスで、散々な出来だった第2回のリベンジを兼ねてもいました。結果的にはそれほどまずい失敗はなかったと思いますが、戦闘でちょっともたもたしたのが減点ですか(眠かったからな……)。新しい試みとして、基本ルールブック所収のヘクス戦闘ルールをちょろっと導入したのですが、位置関係などがはっきりし、戦術を考える幅が出たことで、割と好評だったようです。新しく憶えるルールも少なくて、ほとんど手間が増えないのも好印象。
 ただし、ストーリーテラーシリーズで、ヘクス戦闘ルールを導入して面白いのは恐らくワーウルフだけでしょう。例えばヴァンパイアとかでヘクスを使用しても、面倒臭いだけで全然面白くないと思います。ワーウルフってやっぱり、デッドリィな戦闘が楽しいゲームだと思うんですよね。だから戦闘関係のルールを重視するのはゲームとして正しい姿勢(の一つ)であるはず。この点、初めてストーリーテラーシステムに触れるならワーウルフがいいと言われる所以でしょうが、シリーズのそれぞれで遊び方は異なるということは憶えておいた方がいいでしょうね。
 セッション後に感想を書いてもらったのですが、『サタスペ』の「スピークイージー」を流用させてもらいました。ゲームの側からこういう感想シートを用意されてるのはいいですね。これをワーウルフ専用で作るとすればどうなるでしょう。ちょっと考えてみるのも面白そうです。
 次回はカサブランカを舞台にシティアドヴェンチャーの予定。さっさと都市の設定訳さないと(汗)。
 


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