Uktena
Binders of Secrets


「お前が日の当たる場所を見ている間に、失われた者たちがお前の後ろに集まってくる。お前が成したことも、お前が忘れてしまった秘密も、彼らはすべて憶えている。後ろを見るな、友よ。見たが最後、お前の幻想は砕け散るだろう。
 彼らを立ち去らせるために、お前はどれだけの代償を支払わねばならないのだろうか?」
 
■昏い夜空を歩む者
■「汝の敵を知れ
■秘密の探索者
■虐げられし民の護り手
 
起源
 昔々、世界がまだ若く、ガイアの戦士たちがアンブラと物質界とを自由に行き来できたころ、ガルーが様々な部族に分かれる日がやってきた。それぞれの部族は、部族の名前を求めて二つの世界を旅することになった。
 互いにとても仲の良い、ある三兄弟のガルーも、名前を求めてアンブラへと旅立った。ワームとの戦いに熱心な末の弟は、凍りつくような北風の呼び声に従った。思慮深い真ん中の弟は、世界を支える大いなる亀を名付け親に選んだ。しかし、物静かで、深く物事を考える一番上の兄は、未だ自分の名前を持っていなかった。
 大きな河が洞窟から流れ出しているその岸辺で、三兄弟は休むために立ち止まった。水は勢いよく流れ、泡立ち、太陽の光に照らされて美しく輝いていた。と、上の兄は、深い川底に何か動くものを見つけてそれに釘付けになった。巨大で重々しい何かが、速い流れの下を這いずっていたのだ。
 我が身の危険を考える間もなく、その生き物の正体を見極めようと、兄は水に飛び込んだ。それは鹿のような角を生やし、クーガーの爪と目を持った大いなる大蛇ウクテナだった。その額の真ん中には美しい宝石が輝いていた。兄はウクテナに挑戦し、二人は戦い始めた。水の中で、また水の上で、二人は三日の間戦い続けた。最後には陸の上で、二人は体力と知力を尽くしてぶつかり合った。
 とうとうウクテナは疲れ始め、戦いをやめようと言い出した。しかし、兄はそれを退けた。兄も疲れ切ってはいたものの、相手に従うようなことはしないと固く決めていたからである。兄はウクテナの額の宝石を掴み、離そうとしなかった。こうして二人は戦い続け、更に三日が過ぎた。とうとうウクテナは耐えられなくなった。「一体どうすればお前を止められるんだ?」とウクテナは叫んだ。
 「名前をくれ!」と兄は言った。「そして、最も深い洞窟で学んだ秘密を教えてくれ」
 ウクテナは答えた。「お前は私の名を名乗る権利を得た。しかし、秘密は教えてしまっては秘密ではない。今日からお前は、秘密を求める者(the Seeker of Secrets)ウクテナだ。お前の兄弟が牙と爪で略奪者と戦っているとき、お前はただ独り、敵を学び、考え、策略と知恵を以ってワームを倒すその日まで、精霊の世界の隠された知識を追い求めるのだ。私を放し、行くがいい。お前の名前と役目を、ガイアの部族の間に知らしめるのだ」
 そして、その通りになった。
 
解説
 スターゲイザーズが精神の平穏を求めたのに対して、ウクテナが進んだのはより昏い道でした。故郷を追われた人々の忘れられた遺産が、ウクテナの心と体の中には脈々と受け継がれているのです。長く迫害を受けたことにより、ウクテナの中には暗い渇望が育ち、それに目をつけたワームは禁じられた知識でウクテナを誘惑したとも言われます。兄弟たるウェンディゴですら、ウクテナに対しては疑惑の目を向けています。
 
 ピュア・ワンズがベーリング海峡を通って北米に移住したとき、ウクテナは、砂漠とメサ、密林に覆われた中央アメリカと北米南部に定着しました。開けた夜空の下、ウクテナは砂漠のヴィジョン・フルーツを食べ、未知の精霊たちと交流し、ヌウィシャコーラックス、プモンカ(クーガーの部族)やクアルミ(オオヤマネコの部族)のバステトから奇妙な知識を教わりました。またウクテナは地の底に眠る強力なベインたちを発見し、逃がさないよう束縛してきました。ウクテナは他のガルーの理解が及ばないほどの知識を蓄積し、嫉妬深い兄弟たちから数々の秘伝を隠しているのです。
 
 「ワームブリンガー」(Wyrmbringers、ワームをもたらすもの)と呼ばれる白人入植者たちは、新世界にアフリカ人やアジア人の奴隷を連れて来ていました。その境遇を不憫に思ったウクテナは、奴隷たちを部族に取り込みました。この部族はワームブリンガーの略奪によって発生した難民にとっての避難所でもあり、ウクテナはこうした人々の神秘的な知識や伝承を吸収していきました。今なおウクテナは精霊世界の縁に潜んでいますが、その潜伏期間は長すぎると考えるガルーは少なくありません。
 
 ウクテナは好奇心の強さによって名声を勝ち得ています。部族のメンバーが持つ精霊の知識は伝説的と言ってもいいくらいですが、そのむっつりとした沈黙は、他のガルーに疑惑の念を抱かせる原因となっています。何世紀にも渡る侵略によって、ウクテナは迫害される状況に適応しました。他部族と協力するときでも、ウクテナは自分たちの顧問団を連れて行きます。ウクテナのサージは全てのクレセント・ムーンの中で最もダークで、最もパワフルです。その目はベインやアンブラだけではなく、さらにその先のワームそのものを見ています。
 多くのウクテナは、己の中の闇とうまく折り合いを付けています。認めたくない心の影よりは、よく知っている敵の方が克服しやすいものです。
 
歴史
 ウクテナは、他のガルーが知らないディープ・アンブラの深淵に到達し、暗く神秘的な精霊たちを夜空から引き摺り下ろして、強力なフェティッシュに封じてきました。最も遠くディープ・アンブラを旅したサージ、ダンシング・スター(踊る星)の歌はすべてのウクテナに愛されています。ダンシング・スターは開けた空の下に何日も立ち尽くし、天を見上げていました。体を地上に置いたまま、彼女の心は信じられないような戦いをくぐり抜け、異様な景色を地図に記していたのです。
 ダンシング・スターが杖を突いて砂漠の高台に立ち続け、三年が経ったころ、コヨーテとノスリが賭けをしました。曰く、ダンシング・スターは天に昇って死んだのか、それとも単に体に戻って来れなくなったのか。コヨーテは高台に駆け上がってダンシング・スターの杖を蹴り飛ばしました。その途端、脆くなったダンシング・スターの骨は砕け、体は崩れて、コヨーテを危うく押し潰すところでした。コヨーテは賭けに勝ったのです。
 しかしその後も、今日に至るまで、アンブラの旅から帰還した多くのスカイウォーカー・キャンプの者が、ダンシング・スターに会った、助けられたと主張しています。それからというもの、ノスリは自分への分け前がない限り、コヨーテに獲物を捕らせようとはしないのです。
 
 純粋なる地(the Land of Pure)がそれほど純粋ではないことを発見したのもウクテナでした。年経てぬくぬくと膨れ上がった強大なベインたちが何匹も、地底深くの巣で眠っていたのです。ウクテナはこれらのベインを、可能な限り巣穴から引きずり出して殺しましたが、中には直接戦うには危険すぎるほど強力なものもいました。このような場合、ベインの眠りを魔術的に延長し、巣の上に大規模なケルンを建設し、力の強いサージの骨によってベインを封じ込め、周囲を強力な儀式によって祓い清めるという方法が取られました。
 アールーンのグリムスカウル・バイソンブレス(Grimscowl Bisonbreath)の物語には、聞く者皆が震え上がります。グリムスカウルは群れの戦士たちを率いて、西の海の方向へと続く広大な洞窟網を下っていきました。襲い来るたくさんのベインやブラック・スパイラル・ダンサーをことごとく迎え撃ちながら、グリムスカウルたちは遂に最も深い洞窟へと辿り着きました。そこには年老いた一人のダンサーがいて、洞窟の地面に向かってぶつぶつと何かを呟いていました。挑戦にも無反応だったので、グリムスカウルは一撃で老ダンサーを屠りました。すると突然、足の下の地面が大きくうねり始めたのです。大量の土砂が崩れ出し、グリムスカウルは危うく押し潰されそうになりました。そこは、とてつもなく大きな女巨人の耳の上だったのです。老ダンサーは女巨人が目覚めないように、心地良い夢を見せる呪文を唱え続けていたのです。
 グリムスカウルは耳の穴の上に跪き、女巨人を再び眠りにつかせる物語を語り出しました。今でもその役目は終わっていないと言います。グリムスカウルが不機嫌になると、眠れる女巨人の寝心地もまた悪くなります。すると大地は揺れ動き、山々は西の海へと転げ落ちそうになります。そんなとき、ベインテンダー・キャンプの者たちは囁き交わすのです。ああ、また誰かがグリムスカウルの朝食に遅れた、と。
 この数世紀、ウィーバーの子らが大陸を席捲したことにより、多くのケルンが破壊され、儀式のサイクルも乱れてしまいました。ウクテナのエルダーたちは、古きものどもが目を醒まさないかと恐れを募らせています。
 
 クロアタンの消滅からこの方、ウクテナは「汝の敵を知れ(Know Thy Enemy)」という行動原理に従って生きてきました。旧大陸でのワームの大勝利を観察し、オープンな戦争は破滅への道だということを理解したウクテナは、ニア・アンブラとディープ・アンブラにおいて、逆襲の鍵となるような神秘を捜し求めているのです。
 ウクテナはピュア・ワンズだけではなく、多くの被征服民族と関わってきました。今やウクテナのガルーの姿は、アボリジニの巫術小屋からアジアやアフリカの荒野にまで見られ、黒人やアジア人の呪術師や聖人と親しく交わっています。
 ピュア・ワンズの起源となった三兄弟の歌は、こう続いています。真ん中のクロアタンはイーター・オブ・ソウルズを打ち倒しましたが、その代償に自分も死んでしまいました。弟のウェンディゴの悲しみは凄まじく、その怒りも大きなものでした。兄のウクテナは、侵略者ワームのとてつもない力を目の当たりにし、怒りを露わにすることの無益さを思い知りました。ウクテナは敵を観察するために退却したのです。
 グレート・ムートにおいてこの歌が唄われるとき、歌はウクテナの退却のシーンで終わり、続いてクロアタンへの嘆きの咆哮が上がります。これは歴史の上の未だ癒えない傷であり、その歌もまだ完結してはいないのです。
 
 ワームカマー(Wyrmcomer、ヨーロッパのガルー)の侵略は、ウクテナの管理するケルン・ネットワークのバランスを崩し、封印されていた多くの恐怖を解き放ちました。ヨーロッパ人によって故郷を追われ、狼の生殖集団(breeding stock)をレッド・タロンズに吸収されることによって、ウクテナの存続は危機に直面しました。ヨーロッパ人が最初にアメリカの土を踏んだときから、ウクテナは、ワームの汚染やウィーバーの誘惑に対する絶望的な防戦を強いられることになったのです。
 ウクテナの人間の生殖集団は、初めの頃はネイティブ・アメリカンのみでしたが、後にはアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、アジア系アメリカ人を取り込むことによって、部族の再活性化への希望を託すようになりました。これらのグループの、公民権運動や文化復興ムーヴメントとの関係は、ウクテナをゼノフォビア(外国人嫌い)の崖っぷちから救うことにも繋がりました。しかし未だに、多くのウクテナのエルダーは、どれだけ慎重なものであっても、ヨーロッパ系の生殖集団との混血や、他部族との協力関係に警鐘を鳴らし続けています。
 
 近年、少数民族や伝統文化の復興の動きと共に、ウクテナは力を盛り返し始めています。一度は廃棄されたケルンが幾つもウクテナの手に戻り、中には消滅の危機にある民族や文化の象徴として保護されている場所すらあります。人種差別を避けるための「政治的に正しい」(ポリティカリー・コレクトな)動きは、ウクテナとそのキンフォークに、絶好の繁栄の機会を与えました。この新しい希望の下、ウクテナは更に活発に、行動的になっています。
 しかしそれは、ますます激しい攻撃を受けることをも意味しました。ウクテナの敵は多く、その中には「部族民を彼らの土地に留めよ("keep tribals in their place")」と願う、汚染された政府の行政組織も含まれます。今やウクテナは、搾取、麻薬や暴力の拡大からキンフォークを守らなければなりません。都市への反感にもかかわらず、多くのウクテナは(少なくとも一時的に)都市に住む必要性を実感しています。
 都市のウクテナとキンフォークが置かれた苦境は、古傷を再び広げることになりました。怒りと絶望感は、キンフォークの近代化とそれに伴う文化的アイデンティティの喪失を防ごうとするウクテナの努力に対する反抗となって噴出しがちです。ネイティブ・カルチャーの精神性と伝承の保存は、部族にとっては、自然の再生や忘れられたケルンの復活と同じぐらいの重要性を持っているのです。
 
社会
 ワームの汚染を避けるため、ウクテナは中央集権政治ではなく、氏族間の緩やかな連帯を保っています。部族としての意思決定は、夏至と冬至、春分と秋分のグレート・カウンシル(大評議会)において討議されます。エルダーの意見が大きな力を持つこのカウンシルには、各保護領(protectorate)から最低一人の代表が出席します。カウンシルは満場一致が得られなければ支配機構として機能しませんが、氏族の間を頻繁に使者が行き来し、可能な限りオープンなコミュニケーションが保たれているため、部族内抗争はほとんどありません。しかし何らかの重要な物品、秘密の知識が掛かっている場合には激しい争いが起こります。
 
 ウクテナのキャンプには以下のものがあります。
■Earth Guides(大地の導き手)
 ネイティブ・アメリカンの文化や思想をガルーやキンフォークの間に復活させようとする、伝統的心性をもったキャンプです。最も大きく、尊敬を受けているキャンプでもあるアース・ガイドは、「白い人々」をも啓発しようと努力しています。アメリカで'60年代から盛んになったニューエイジ系のムーヴメントは、このキャンプが火付け役であると言われています。
 
■Bane Tenders(ベインの番人)
 ウクテナの信用がない原因にもなっているこのキャンプは、部族の最も不吉で陰気な部分を体現しています。古くから新大陸の強大なベインを封じ、見張ってきたベイン・テンダーズの言葉は、カウンシルにおいては非常に重きを置かれます。しかし最大限の尊敬を得ながら、テンダーズは同時に畏怖され、忌避されています。テンダーズの友は少なく、同胞であるウクテナの者でさえ、テンダーズと長く一緒にいようとはしません。言わばベインを干渉から「守って」いることから、アース・ガイドは、ベイン・テンダーズの者がワームテイントされていないかどうか頻繁にテストしようとします。そのためテンダーズは大変に憤り、アース・ガイドを嫌っています。
 
■Skywalkers(空を歩く者)
 ディープ・アンブラを旅し、ワームとの戦いに役立つ味方や領土、知識などを捜し求めているキャンプです。スカイウォーカーズが物質界に帰還するときには、ほとんどの場合、ディープ・アンブラの強力な精霊をフェティッシュに封じるなどの収穫を携えています。カウンシルにおいては、スカイウォーカーズは攻性で積極的な行動に賛成票を投じる傾向があります。彗星が地球に近づくと、スカイウォーカーズは特別な宴(revels)を開きます。ディープ・アンブラの深淵からときどき彗星に乗って帰ってくると言われる伝説のサージ、ダンシング・スターの霊と、近くのレルムで接触するためです。
 
■Scouts(斥候)
 元来スカウツは、メッセージを携えてケルンの間を駆け回る使者であり、未知の土地への偵察隊でした。多くのネイティブ・アメリカンの伝説に、狼の姿で天地を駆ける使者の話が残されています。現代のスカウツは、点在するウクテナの氏族や、部族混合型の氏族にいるウクテナとの連絡要員です。孤立したベイン・テンダーズとの接触を保ち、必要物資や新しい知らせを届けたり、多くのウクテナが嫌う都市において部族の目となり耳となるのもスカウツの役割です。こうした働きによって部族内のコミュニケーションが保たれ、一匹狼的なウクテナも浪人に堕ちることを免れているのです。このキャンプには多くのトリックスター、小数の戦士と呪医が引き寄せられます。
 
■Ghost Dancers(幽霊踊り)
 ウクテナとウェンディゴの混合キャンプです。ウェンディゴは1889年のグレート・ゴースト・ダンスの戦争的な側面に思いを馳せ、ウクテナはその精神的な基盤を呼び醒まし、神秘的な儀式を執り行ないます。ゴースト・ダンサーズはアンブラにおいて、ピュア・ワンズの兄弟であるクロアタンが生き残っている証拠を探しているのです。このキャンプはまた、若いキンフォークたちに自分たちの文化的遺産を伝えていこうと努力しています。
 
 秘密結社(secret societies)は、部族内にありながら、エルダーの正式な承認を受けていない集団です。その全貌を知っている者は誰もいないか、いたとしても極めて少ないでしょう(知られてしまえば、それは秘密ではなくなります)。噂に語られる秘密結社の様相は、次のようなものです。
●Raiders(収奪者)
 ワームとの戦いに直面して元の集団から分岐した、スカウツ内部の結社です。ベイン・テンダーズと並んで信頼が薄いレイダースは、ワームやウィーバーの尖兵に対抗すべく特殊な収奪をその任としています。直接ワームを襲うのではなく、ヴァンパイアやメイジの手に落ちた魔法の道具を盗み取るのです。失われた巻物を修復し、埃っぽい地下の墓所や博物館からフェティッシュを奪還するのがレイダースの役割です。
 多くのウクテナのエルダーは、レイダースが、ワームテイントされた物品や悪いまじない(バッド・メディシン)に不必要に近づき過ぎていると懸念しています。ワーム臭い品物を見つけた場合は即座に破壊している、とレイダースは主張しますが、禁じられた知識や品物を収める巨大な収蔵庫を建設しているとの非難もあります。真実は、レイダースのみが知っています。
 
●Wyld Children(ワイルドの子供たち)
 社会を離れ、原野の奥深く引きこもり、瞑想して純粋なワイルドの声を聞こうとするウクテナたちです。ただワイルドの精霊だけを友とし、世界の果てとも言うべき僻地に生きるワイルド・チルドレンは、いわゆる「狂った世捨て人」ですが、「聖なる愚者」として尊敬を受ける存在でもあります。中には「裸の」ワイルドに触れて完全に発狂してしまう者もいます。ガリアードのハウルズ・ウィズアウト・ムーン(Howls-Without-Moon、月なき夜に吠える者)の物語には、ワイルド・チャイルドの一人が辿った恐ろしい運命が教訓的に綴られています。ハウルズ・ウィズアウト・ムーンは砂漠に赴き、そこであまりにも恐ろしい何かを目にしたため、視覚と正気を完全に失ったのです。彼はブラック・スパイラル・ダンサーズに世話をされる、盲目の脚萎えとして死んだといいます。
 ワイルド・チルドレンがカウンシルに出席し、曖昧なメッセージや警告を発することもあります。その言葉は敬意を持って受け止められ、もし意味を読み解くことができたなら、みながそのメッセージに注意を払います。
 
●Society of the Bitter Frost(厳霜の結社)
 チョクトー族のメディシンワーカー、アーロア・レッド・クロウ(Arloa Red Claw)によって創設されたこの結社には、ワームの戸口に立つ、深い落胆と幻滅を味わった者が集います。長年に渡るベインの見張りを続けることによって体が歪み、自分の使命につくづく嫌気が差したベイン・テンダーやダーク・メディシン・ワーカー、怒りに身を焦がす戦士たちなどがビター・フロストに加わります。ソングキーパーも同じように参加しますが、ピースメーカーやトリックスターはほとんどいません。
 ビター・フロストは平和的、協力的な手段を捨て、盗まれたウクテナのケルン、強力なフェティッシュ、知識と力のすべてを取り戻そうとしています。たとえそれらがワームのものであっても。ワームのフェティッシュを確保しておけば、少なくともそれがウクテナに対して使われることはない、というのがビター・フロストの主張です。
 結社のメンバーは、ブラック・スパイラル・ダンサーズを初めとするワームの落とし子とさえ接触しているといいます。他の手段では得られない敵の知識が得られる、というのがその理由です。ビター・フロストはワームテイントされていることを自覚しており、自分たち以外の誰も信じようとはしません。そのため当然、絶対にアース・ガイズの検査を受けようとはしないのです。
 この結社の最もラディカルな要素は、ヨーロッパのガルーを次々に殺していることでしょう。それによってビター・フロストは、強力なフェティッシュを再びウクテナの手に「取り戻して」いるのです。
 
●Path Dancers(路で踊る者ども)
 パス・ダンサーズとして知られるこの呪術研究者集団が何をやっているのか、何を狙っているのか、結社の外の者には全く解っていません。ダンサーズは素質のあるものを誘拐して服従させ、長い長い試験によって被験者の「価値」を調べます。価値なしとされた者は試験の間に起きたことを全て忘れさせられ、合格した者だけが結社に加わることになります。ダンサーズは、部外者には絶対に明かされないギフトや儀式を厳重に秘匿しており、それらは他のウクテナの垂涎の的となっているのです。
 
形質
 ウクテナは細身ながら筋骨逞しく、狼の形態では赤みがかった黒い毛皮で、大きな茶か黒の目をしています。多くはネイティブ・アメリカンの特徴を有していますが、長い年月の間に多くの虐げられた人々を吸収してきたため、様々な人種的特徴が見られます。
 ウクテナには周囲にいる者を熱心に見つめるという、人を居心地悪くさせるような習性があります。ガルーとしては小柄ですが、神秘的かつ脅威的な雰囲気を持ち、体の小ささに見合わないほどの冷ややかな獰猛さを発散しています。
 
テリトリー
 自然の奥深い場所にある、開けた空の下のケルン、またはワームカマーの攻撃にも耐えた秘密のケルンを好みます。うかつに侵入した者――特に白人――は容赦のない歓迎を受けることになるでしょう。
 
保護対象
 ウクテナは自分たちを、虐げられた人々、外国の侵略により故郷を追われて伝統的な精神を失った人々の守護者と位置づけています。多くの少数民族と同盟し、子を成して、必要とあらば自分たちの民を護るのです。
 また、この部族は強力なフェティッシュやタリスマンの所有権を主張しています。それらを他の誰が適切に扱えるというのか、と言うわけです。
 
名前
 多くの年上のウクテナはネイティブ・アメリカン系で、その名前も文化背景を反映しています。若いウクテナには様々な少数民族や、ワームテイントによって強固な支配体制が確立した社会のマイノリティーに由来する名前が多く見られます。狼族のウクテナは、アメリンディアンの名前を持つ傾向があります。
 そのウクテナの人生において重要な意味を持つ行動や功績などによって、名前が付け加えられたり、完全に置き換えられたりすることもあります。例えば、Running Creek(流れる小川)は、ヴィジョンクエストにおいて精霊となったガルーの群れと睨み合って勝ったことから、He-Breaks-Their-Will(彼らの意志を挫いた男)へと名前が変わりました。
 
台詞
 「貪欲なる者よ、お前は我らの大地を盗み、聖域を盗み、自分に対して知識を隠しているといって我らを責める。だから我らは、お前を何も知らぬ子供として扱う。相応しい時が来れば、我らはお前に知るべきことを教えるだろう。その時が来るまでは、我らの邪魔をするな。我らがしていることの本当の意味を、お前は何も知らないのだから」
――スタンディング・ロック、ウクテナのサージにしてゲートキーパー
 
偏見
ブラック・フューリーズ――ワームカマーには違いないが、ワイルドを護る姿勢は信頼できる。それに、彼女たちの怒りは凄まじい。
ボーン・ナウアーズ――悲しい事だが、ワームが旧世界においてガルーに為したことの象徴だ。彼らが完全にワームに屈する前に奇跡が起こる事を祈るしかないだろう。
■チルドレン・オブ・ガイア――ワームカマーの中で唯一、我らの怒りを鎮め、心の傷を癒してくれた。尊敬はするが、しかしワームと渡り合うには少々世間知らずだ。
フィアナ――ほとんど接点はないが、彼らは学ぶ価値のある素晴らしい伝承や歌、様々な知識を持っている。
ゲット・オブ・フェンリス――我らの弟と同じく、己の怒りに溺れてしまっている。後始末が大変であるし、我らの立場を悪くする危険もある。無意味に彼らを怒らせない方が得策だろう。
グラス・ウォーカーズ――歩む道こそ違うが、我らには新しすぎるアンブラの領域で賢く立ち回っている。それは危うい綱渡りかもしれないが、学ぶべきものは大いにある。
レッド・タロンズ――人間に対する彼らの単純で狭量な思想は、危険で調和を崩すものだ。その先には破滅しか待ってはいないだろう。
シャドウ・ロード――彼らの野心と尊大さは汚染への道だ。目を離してはいけない。
サイレント・ストライダーズ――彼らが学ぶべき知識の運び手であるかどうかは微妙なところだ。我らと知識を分け合うことを納得させねばなるまい。
シルバー・ファングス――彼らの心の気高さは純粋なものだ。しかし顕在化した精神的な弱点は、ワームの付け入る隙を作っている。
スターゲイザーズ――ディープ・アンブラを知り、それを愛する点から言えば、ワームカマーの中では最も我らに近い。
ウェンディゴ――クロアタンの喪失以来、弟は変わった。彼らのピュア・ワンズへの責任感は素晴らしいが、ワームを追いつめるには直接の攻撃が最良の手段ではないということを知らねばならないだろう。
 


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