Shadow Lords
Retribution and Ascendance

「わたくし、あの方たちとは意見が合いませんの、レッド・タロンズのお姉さま! 他の方たちと離れて、こちらにきてくださいません? わたくしは、人間を徹底的に殺し尽くすのではなく、身の程をわきまえるようになるまで、単に間引きしてやれ、と申したいのです。このモットーにしたがい、あいつらの喉を爪でかっ切ってやりましょう! 偉大な母によって、動物は人に仕えるよう定められ、人はガルーに仕えるよう定められているのです。そして、ガルーはシャ……い、いえ、ガイアに仕えるよう定められているのです。もちろん、ガイアに、ですとも。お話はまたあとで、盗み聞きされる心配が減ってからにしましょう。」
 
■漆黒の権謀術数家
■至高を目指す者
■究極の社会ダーウィニスト
 
起源
 ガイアはその御手を大地に伸ばし、最初の15頭のガルーを創り出しましたが、彼らは失敗作でした。よく戦ってはいたのです。ワームの子供たちに向かって、唸り、吠え、飛びかかり、ひっかき、噛みつき、そして引き裂くという、どんな生き物にもできないことをやり遂げていました。しかし、ガイアは落胆していました。オーク、氷、茨、その他強く、危険なあらゆるものから創ったにもかかわらず、彼らにはワームを打ち負かす力に欠けていたからです。

 天上遙か上の闇に棲む、強大にして堅固なグランドファーザー・サンダーは、ガイアの苦境を眺めおろしていました。彼は、ガイアを見守りながら、待っていました。ガイアが、自分の子供たちを<怒り>で祝福しするようルナに頼んだときも、苦痛を光で流し去るようヘリオスに頼んだときも、待っていたのです。そしてついに、ガイアが上へ向けた視線は、グランドファーザー・サンダーの無言で訴える目と合わさったのです。すぐさま、彼は、ガイアに身を任せました。

 その時、ガイアが産み落とした子は太陽の黒点のように黒く、サンダー自身の力がその若者の血管中を駆けめぐりました。この者の前足の一撃は雷撃のごとく、吠え声の力強さは稲妻のごとくでした。この者が闘いに飛び込むや、それ以外のガルーはともに立ち上がり、この大戦士シャドウ・ロードの始祖の後につづき、勝利に向かって進んだのです。
 しかし、栄光が嫉妬を生み出してしまうのが世の常であり、最初のガルーたちの心に、癌の芽が生まれました。この最初のシャドウ・ロードと、その子供たちへの恨みが……。

解説
 オオカミ、そしてワーウルフは、征服と服従、支配と隷属の生き物です。。シャドウロードほどこの格言を体現しているガルーの部族はありません。 この巨大な漆黒のワーウルフの部族は、メンバーの勇ましさと狡猾さで名高く、そして同じぐらい、尊大な態度と野心とで悪名高いのです。

 シャドウ・ロードは、彼ら自身が力ある将軍として君臨していたバルカン半島で生まれました。しかし、シャドウ・ロードが移住を開始して以来、権力への終わりなき探求の結果、世界中に拠点を築いています。部族の「支配」をなによりも重要視する傾向が、シャドウ・ロードのこうした行動を後押ししたのは間違いありません。。
 シャドウ・ロードがそのために生き、そして死んでいく、他のガルーにほとんど語らない信条は単純です。地球のあらゆる生物の中でワーウルフが一番優れ、ワーウルフの中でシャドウロードが一番優れている、それ故、ガイアの他の生き物を治める権利がある。もちろん、そのやり方は自分たちの利益になるようなものに、ということは言うまでもありません。

 シャドウ・ロードにとって序列こそが全てです。ものをいうのはリーダーシップのみで、あらゆる犠牲と手段をもって手に入れなければなりません。こうした理由から、ロードは常に、ヒト、オオカミ、ワーウルフのいずれをも支配しようと奮闘しています。シャドウロードは、弱く老いぼれたシルバー・ファングを軽蔑しています。シルバー・ファングの地位を奪うことを何よりも望んでいます。

 ひょっとすると、シャドウ・ロードこそが総体としてみれば、一番力ある部族なのかもしれません。部族の強い結びつきと、終わりなき競争で鍛え上げられた個々のメンバーは、真に手強い組織を作り出しました。最近、シルバー・ファングとの積年のライバル意識がよりあからさまになってきています。今は暗黒の時代だと、ロードは言います。いわゆるシルバー・ファングの知恵は平和なのどかな時代には適したものかもしれませんが、絶望的な日々には新しい政治と新しい指導者が必要なのです。

 一般的に、シャドウ・ロードは誇り高く、威厳を持ち、堂々とし、孤高を保っています。狡猾さは名高く、慈悲がかけらもないことでも知られています。熟練した、高潔な戦士(すくなくとも、外野が背中を向けない限りは、と囁くガルーもいます)でもあり、生きるに価すると証明したものとの関係には不承不承従います。しかし、そうしたものの弱点を同情したり、容認することはありません。もしかすると、世界制覇へ向けた流星のごとき躍進により、シャドウ・ロードは一番、ワームの手先たちに、尾けまわされ、鍛えられたガルーなのかもしれません。実際、彼らにはどこまでも堕落していく可能性があるのですから…… 
 

 
 
歴史
 インペルギウムを起こすよりも前、ガルーが部族に別れていない伝説の時代。ガルーは、部族でなく、階級に別れていたといいます。後のゲットやレッド・タローンズにつながる戦士の階級、フィアナにつながる語り部の階級などです。チルドレン・オブ・クロウという、カラスのインカルナをトーテムとする階級は、ガルーの王、シルバー・ファングに仕えていました。恥辱と降格にまみれながらも、王の権威を守るために、<怒り>と誇りを胸に秘め続けたまま政敵の暗殺、裏工作などの任務を果たしていました。彼らは、全体の利益のために自分を殺していたのです。
 やがて、チルドレン・オブ・クロウは、狂気の王たちの不興から自らを守るために、密かに会合を持つようになりました。次第に、望みの王を位につけ、望みの政策をとらせと、裏から王たちを操るようになりました。それでも、彼らは王に忠実でした。

  インペルギウムの末期には、人間がガルーに反乱を起こしました。それがきっかけとなり、インペルギウムの是非を巡り、ガルーの社会が分裂します。チルドレン・オブ・ガイアやブラック・フューリーズ、スター・ゲイザーは、インペルギウムの停止を訴え、レッド・タローンズ、ゲット・オブ・フェンリスはその逆でした。「誉れ高き」シルバー・ファングたちは、二つの陣営を二枚舌で懐柔しようとしていました。チルドレン・オブ・ガイアたちには、主張へ耳を貸す態度をとりながらも、実質的な力を与えず、レッド・タローンズやゲット・オブ・フェンリスたちには、人間たちがセプトへ攻撃を加える人間たちを撃退するよう命じていたのです。

 平和を訴える陣営の行動は速やかで、知恵高い王であることを示したがるシルバー・ファングにとって、避けがたい挑戦をつきつけました。スター・ゲイザーとのインペルギウムの停止を賭けた「知恵勝負」(Game Craft)を挑んだのです。「誉れ高き」シルバー・ファングは、それを受けて、敗れました。シルバー・ファングの能力は、長年チルドレン・オブ・クロウに操られ、骨抜きにされてしまっていたからです。
 敗れた結果、シルバー・ファングはいつもそうであるように、自分たちを「誉れ高く」見せる行動に出ます。チルドレン・オブ・クロウの言葉を無視し、チルドレン・オブ・ガイア、ブラック・フューリーズ、スター・ゲイザーの側を支持したのです。
 シルバー・ファングは、今後、ガルーと人間が世界を分かち合うことを宣言します。そして、階級を廃し、各々を部族に分割する「コンコード」(The Concord)を取り付けました。これで、戦士階級というものはなくなりました。なぜなら、各部族には、アールーンという月相がいるからです。
 この決定に裏切られたと思った、レッド・タローンズは攻撃を企てますが、鎮圧されました。ゲットも怒り狂いましたが、部族同士の内戦を避けるため、表立っての攻撃には出ませんでした。
 そして、チルドレン・オブ・クロウは……王に忠実でした。人間に攻撃を加えたのです。  シルバー・ファングは、その行動をすぐさま告発します。そしてまた、即座に自分たちの関与を否定し、英知ある決定を反古にしたクロウを責めたのです。シルバー・ファングは、チルドレン・オブ・クロウが自分たちに加えてきた策謀も告発しました。
 チルドレン・オブ・クロウの怒りは留まるところを知りませんでした。シルバー・ファングに逆らい、離反しました。
 自分たちを統治するのに敬意を払わぬ愚者を支持するつもりはなくなりました。どんな部族でもガルーの王になることができるようになった今、シルバーファングに価値はありません。彼らは、自分たちを影に棲む君主、シャドウ・ロードであると、あからさまに公称することにしたのです。

 部族に分割されたガルーたちは、世界各地に散っていきます。フィアナは西へ、ゲットは北へと。シャドウ・ロードは紅海からトランシルヴァニアあたりの南欧に進み、そこの人間の各部族に支配を及ぼしていきます。
 ガルー社会とは離れて生きようとした一派もいます。彼らは極東に至り、西洋ガルーとは違う生き方をする日本のハッケン・ガルーとなりました。

 この旅の最中、ロードは「カラス」のインカルナの背後にはより大きな存在がいることにロードは気づきました。それを探りにロードはアンブラへ探索に赴き、より古く、暗い神と対面します。彼の象徴するのは、怒りの道、復讐の道、そして権力への意志。かくして、シャドウ・ロードは、グランドファーザー・サンダーの翼の下で発展することになったのです。

 南欧の人間に影響力を持つようになったロードは、その地方の諸部族を相争わせキンフォークの質を高めてきました。そして、次々と王朝が変わる中、ロードはマケドニアのアレクサンダー大王からは指導者の模範像を、ギリシャ文明の哲学者から思想を、ローマ文明の暴君たちからは政治を、という具合に人間から数多くのことを学んでいったのです。

 15世紀に入り、オスマン・トルコ帝国の支配が伸びてくると、ロードは危機感を募らせます。ロードにローマ帝国は理解できましたが、トルコ人はさっぱり理解できない存在だったからです。

 ヴラドミール・ドラクールという者がいました。彼は、バンパイアのツィミシー氏族の一員であり、ワラキアの大公でした。オスマン・トルコ帝国から故国を守るべく、挙兵したとき、ワラキアの多くのロードもそれを支持し、彼に付き従いました。しかし、これは周囲の国のロードの目にはこの行動はワームに従うものと映りました。周囲のセプトは連合して、ワラキアのロードに攻撃をしかけます。結果、オスマン・トルコ帝国にヴラドミール・ドラクールは敗退しました。、
 ツィミシー氏族は、シャドウ・ロードに復讐を誓い、ここから両者の数百年の対立が始まりました。
 ヴェントリュー氏族がカマリラを結成し、ツィミシー氏族がロードと戦っている余裕がなくなるまで、両者の抗争は続きました。

 ロードは、その後一世紀をかけ、建て直しを計ります。その結果の一例が、16世紀、ワラキアの公子によるワラキア、モルダヴィア、トランシルヴァニアの統一でした。しかし、その後も、封建君主は地方の支配権を持ちながらも、貴族たちは支援をオスマン・トルコ帝国に頼むという形で、トルコ人の支配は存続していったのです。

 また、ロシアを基盤とする北方のシルバーファングも脅威でした。シルバーファングはオスマン・トルコ帝国と対抗するために、ロードの「救援」の名目で東欧に進出し、そこを戦場とします。その代表例が、17世紀のロシア・トルコ戦役であり、18世紀のクリミア戦争でした。二者間の争いは、ロードの故郷を混乱させ、ちりぢりに分断しました。

 自分たちが主導権をとれないことにロードはいらだち、内紛が絶えませんでした。復讐の方法を探し続けたロードは20世紀に入ってから、両者に代償を支払わせます。バルカン戦争で、トルコとロシア双方を退却させ、ボルシェヴィキ革命ではシルバーファングが依っていた王族階級を消滅させたのです。しかし、それはまた新しい重荷を呼び込みます。ブルジャ氏族の手に失墜したシルバーファングの故郷から、共産主義がひしひしと歩みよってきていたのです。

 現在、ソ連は解体し、共産主義はロードの故郷から退きました。それでもなお、故郷はさきのセルビア、コソボ情勢に代表されるように迷走したままです。

 ロードは、故郷の歴史から重要な教訓を学んでいます。堅固な統一性がなければ、強力な敵には立ち向かえないのです。故郷のバルカン半島のごとく部族に分断されたガルー社会は、危険きわまりありません。部族が無かった伝説の時代のように、部族間で同盟を結び、団結せねばなりません。統一性には、中心となる権力と、強力な指導者が欠かせません。

 かつて、人間の文明と道義心を信じ、ガルーの王はインペルギウムを停止しました。独裁者と化したシャドウロードは、人間性の美徳を支持するシルバーファングにとって脅威となる裏切り者でした。しかし、人間の道義心なるものはペテンです。ロードは故郷で人間性をうんざりするぐらい学んできたのです。

 アポカリプスが近づくにつれ、人間たちは本性を次々とさらけだしてきています。故郷の有様は全世界の縮図にしかすぎません。カストロ、マルコス、スターリン、毛沢東、フセイン、ヒットラー、ムッソリーニ……、これら20世紀の怪物たちはあまりに人間的だったのです。ワームに憑依されていたのでも、悪魔に操られていたのでもありません。アウシュビッツ、粛正、弾圧……、彼らの所業に比べれば、ガルーがインペルギウムで行ったことなど問題になりません。人間たちが自分たち自身に行っていることを施して何が問題だというのでしょう。結局、人間は独裁者を求めているのです。人間の道議性を信じ、失敗したシルバーファングの轍を二度と踏んではなりません。

  アポカリプスこそは、ガルーをまとめ上げ、統一し、そして、新しい時代を作り出すチャンスだ、とシャドウロードは考えています。

 アポカリプスが近づきつつある中、シャドウロードの野心を知っている他の部族のものたちは、ロードの動向に注意しています。しかし、シャドウロードのエルダーたちは、まだ時期を見極めるつもりでいます。

 そうした中、部族の趨勢にじれたマグレヴ・ユーリ・コニェッツコが、先走った行動に出ようとしています。彼は、各地の有力なメンバーに、ストームクロウを送り出し始めました。結果がどうでるか、サイレント・ストライダーズは情報を収集しています。
 
社会
 シャドウ・ロードのセプトを率いる資格があるのは、もっとも強き者です。この強さは、肉体的な強さだけのことではありません。肉体的な強さは結果にしかすぎません。狡猾さ、カリスマ、精神的な強さも含めた強さのことです。

 ロードは、リーダーとなることになってのみ己の「完璧さ」を証明できると考えています。ロードのリーダーたちは、祖のシャドウ・ロードの「完璧さ」を模倣しようとします。「完璧さ」ということについては、次のような例があります。もしゲット・オブ・フェンリスが眠っているリーダーを殺したとすれば、そのゲットは責められるでしょう。しかし、シャドウ・ロードではそうではありません。殺されたリーダーが、真に「完璧」であれば、殺される前に攻撃を察知し、手を打っていたはずなのです。つまり、殺されたリーダーは、リーダーにふさわしくなかったということになるのです。

 シャドウ・ロードのムートは2種類あるという噂があります。ひとつは、政策を決めたり、饗宴を開く普通のムートです。もうひとつはより暗い側面を持つ「シャドウ・ムート」です。これには、若いロードは参加できず、最高位のロードのみが参加でき、部族の真の方針を決めたり、実行したりするといいます。

 シャドウ・ロードはもっとも組織化された部族ですが、幅広い思想を内に持っています。様々なキャンプが、敵対する者を凌ぐ、という究極の目的のために活動しています。全てのキャンプで、権力は個人の名誉より尊い、という思想が共通しています。「山頂に至る道は数多ある」という日本のガルーの古い言葉があります。全てが山頂に到達できるわけではありませんが、それぞれのキャンプは異なる旅程にありながらも、等しく天上から見守られているのです。
 

■The Lords of Summit(頂点の君主たち)
 シャドウ・ロードの治世による、全ての部族を統合したガルー連合体の成立を目指しています。たいていのロードが所属しているのがこのキャンプです。
 このキャンプの者たちが、典範を引用しながら語る信条はこうです。「アポカリプスがすぐそこに迫った今、平和などという幻想はありはしないのだ」。今現在が『戒厳令下』にあるという信念のもと、自分たちの独裁性を正当化しています。このキャンプのロードたちは、権力を手に入れるためなら何でもします。ひとたび、手に入れればどんな理由があっても、死ぬまで手放そうとしません。

 もっとも力を得たロードには、グランドファーザー・サンダーが報償として、必要とあればワームの汚れを隠蔽できるギフトを授けてくれるという噂があります。
  
■The Bringers of Light(光をもたらすもの)
 全てのシャドウ・ロードが野心の呼び声に従っているわけではありません。ブリンガーたちは、異なるやり方で征服を成し遂げようとしています。彼らが、征服しようとしているのは、自分自身の内なる力です。そのためには、自分自身が常に純粋でなければならないと考え、その試練として、魂をワームの汚れにさらし続けています。

 バンパイア、メイジたちと関係を持つのはざらで、ブラック・スパイラル・ダンサーズの潜む<巣>にとどまったり、アンブラでもワームの汚染がひどいレルムを探索したりもします。サバトのバンパイア、サーペンツ・オブ・ライト氏族と交流があるという噂もあります。

 彼らは、同じ部族の者たちからも疑われています。なぜなら、多くのブリンガーたちがワームの力に屈しているからです。しかし、この試練を生き延びた者たちは、ウェンディゴさえうらやむ高潔な魂を持つようになる、といいます。

■The Chirdren of Crow(カラスの子ら)
 グランドファーザー・サンダーが要求する道は、厳しく、その高みに到達できない者もいます。そうした者にも目を配るために、サンダーは、自分の配下の「カラス」を使わしています。チルドレン・オブ・クロウは、それに忠実な者たちです。

 このキャンプの者たちは、自分の社会的な評判が地に落ちることにはかまわずに、自分より地位の高いロードに従うことで、権力を得ようとします。自分の名誉を捨て、全体の利益のために行動するのです。彼らは、その忠誠心と服従心から、リーダーたちから信頼されています。「カラス」は、他のガルーが持っていない、発見と直感の才能をこのキャンプの者たちに与えています。チルドレンたちは、「カラス」が究極的にはグランドファーザー・サンダーの意志に従っていると感じ、「カラス」の導きを信じています。

 このキャンプのリーダーたちは、ワーレイヴンことコーラックスたちと同盟を結んでおり、必要とあればコーラックスたちから助力を得られる、という噂もあります。
 

■The Hakken Garou(ハッケン ガルー)
 東洋を支配しているガルーたちです。「ブシドー」に由来する独自の信条を持っています。西洋のガルーは個人の権力を社会的な名誉よりも上に置きますが、ハッケンは個人の名誉を、社会的な名誉よりも上に置きます。西洋ガルーと違うこうした信条のため、ウラー(Urrah)と見なされることもあります。
 グランドファザー・サンダーを共にトーテムとし、シルバー・ファングへの反発など共通点があるので、西洋ガルーの中ではシャドウ・ロードだけがハッケンと同盟を結んでいます。 

 ハッケンが西洋ガルーたちに不信感を持っているのは、19世紀末の徳川幕府体制の頃まで西洋世界の汚染から隔離されてきた日本が、明治時代になり西洋化されるとともにワームの汚染にさらされるようになってきたからです。

 ハッケンは、キツネやヘンゲヨウカイと呼ばれる日本在来のシェイプチェンジャーたちと堅い同盟を結んでいます。16世紀に、織田信長公とそのアンデッド軍に組した、日本版ブラック・スパイラル・ダンサーズというべき、堕ちたハッケンの一群がいるという噂もあります。

●秘密結社

■Judges of Doom(終末の審問官)
 シャドウロード、いえ全てのキャンプの中でも悪名高いキャンプだといわれています。ジャッジ・オブ・ドゥームは、ガルー社会に典範の法を遵守させようとする恐ろしい武闘集団です。秘密に包まれたキャンプですが、この無慈悲な集団の行いはセプトからセプトへすぐさま伝わります。狂信性と冷酷な振る舞いから、魔女狩りの異端審問官になぞらえられることもあります。  

  フィロドクスのみからなるこのキャンプへの評価は複数あります。一般的なのは、このキャンプは他の部族の「穢れ」を攻撃するのは、ライバルに衝撃を与え、弱体化させ、シャドウ・ロードの支配が進みやすくなるようにしている、というものです。次に、シャドウ・ロードが過去に起こした罪を償うために活動している、というものがあります。どれが正しいのかは定かではありません。

 
■The Masks(仮面)
 マスクズが探求し実践しているのは、恐怖、です。。彼らは、禅道にも似た求道生活に自分の人生を捧げて、その目的……敵を暴力ではなく、純粋な恐怖で殺す能力を手に入れようとします。この能力を手に入れた者は、銀のクレイヴで顔を切り裂く儀式を行い、顔面をケロイド状の皮膚で覆われた、悪夢のような顔つきにしてしまいます。
 このキャンプは、バンパイアのノスフェラトゥ氏族が恐れる怪物ニクトゥクと、同盟を結んでいるという噂があります。

■The Society of Nidhogg(ニドホッグの会)
 このキャンプのものたちは、天候そして闇に関する魔術を研鑽することで、グランドファーザー・サンダーと強く通じ合っています。しかし、狂信的な情熱は、陽光そのものが、グランドファーザー・サンダーの力を阻む障害になっていると考えるようになりました。究極的には、世界を永遠に暗黒で包みこむことを目指しています。
 サバトのバンパイアに属するラゾンブラ氏族のバンパイアと通じているという噂もあります。
 

■Lazarite Movement(ラザライト運動)  
 レッド・タローンズが狼族だけで部族を構成しているように、混血だけで部族を生みだすことを主張しています。元になったのは、チルドレン・オブ・ガイアとシャドウ・ロードの二人の混血が作ったバンド「アンクリーン(不純)」です。彼らの活動は、各地のセプトや混血たちを宗教的な運動に巻き込み、狼族や人間族に反目させています。
 アポカリプスが近づくにつれ、この運動を支持する混血たちはますます増えています。この裏で、どれだけのシャドウ・ロードが暗躍しているかは不明です。

 
形質
 シャドウロードは優秀で、明晰であればあらゆる人間と交配するので、出自はあらゆる人種があり得ます。人を従わせる雰囲気を漂わせ、筋骨たくましい体つきです。オオカミの姿の時には大きく、がっしりとした体つきに、体色は漆黒で、ピット・ブルテリアによく似ています。
 
テリトリー
 シャドウロードが好むのは、厳しく、陰鬱な美しさを持つ地域です。例えば、岩山、闇の深い森などです。しかし、権力を手にしようと、多くのものが、都市へ移住しています。
 
保護対象
 シャドウロードが人間を保護することはほとんどありません。というのは、保護を必要とするようなものは弱者であり、こうしたものは種の利益のために排除されるべきだからです。まれに、秀でた知性と能力のビジネス界の人間や組織犯罪のボス、軍人などがシャドウロードの目にとまることがあり、そうしたものたちには支援を与えることがあります。

名前
 シャドウ・ロードはバルカン地方で生まれたので、この部族では、ベラ、ボリス、ニコス、アーニャなどの東欧の名前が多く使われています。ロードの多くは、自分たちの謎多き父との関係を表す名前をつけたり、与えられています。ポウ・ザット・シャッターズ(粉砕する肢)、ブレスズ・ライトニング(雷の息をする)、ロアー・オブ・ストームズ(嵐のうなり)などです。他の名前は、単に恐ろしげな印象がする、という理由でつけられます。アイアンクロウ(鉄の爪)、スカルクラッカー(頭骨砕き)など。

 
台詞
 つまり、こういうことだ。いつも最後には、同情こそが弱点だと示されている、慈悲が誤りだというのは明らかだ。かつてよりも数が減った私たちには、これが贅沢な行いだ、というのはどんな阿呆でも分かることだ。今は結果こそが全てなのだ。

――マグレヴ・ユーリ・コニェッツコ、シャドウロードのサージ
 
偏見
ブラック・フューリーズ――彼女たちは強い、だが来るべき日に向けての統一さと鍛錬に欠けている。我々の側に立つというなら喜んで受け入れよう。もしそうでなければ……。
ボーン・ナウアーズ――役立たずの腰抜け、害虫、ジャッカルの落とし子。サバイバルに長けていると自慢しているようだが、連中が考えているより早くその能力が試されることになるかもしれぬ……。
チルドレン・オブ・ガイア――この不健康な菜食主義者どもがどうやって生き延びてきたのか不思議でならぬよ。安寧は自然の理にあらず。安寧はガルーの理でもない。わたしたちが、本当にこの者たちをガイアと一体にしてやれるかもしれぬ――恐竜が辿ったのと、同じ意味でな。
フィアナ――鍛錬を必要としており、立場をわきまえるべきだ。べらべら喋る舌を、頭からひっぺがせぬものか。ま、それに目をつぶれば生かしておく価値はある。
ゲット・オブ・フェンリス――役に立つワン公たち――いや、気高きガルーの兄弟たちだ。自分たちの立場をわきまえている。よく戦い、考えることは他のものにまかせている。本当に、素晴らしいワーウルフたちだ。よく仕えてくれることだろう。
グラス・ウォーカーズ――このものたちこそが本当の脅威だ。他のガルーは恐れを抱くのみだが、我々はよく把握している。誇りと規範の欠如にはむかつかされる。最後には我々と彼らが対決することになろう――彼らには降服か、敗退しかあるまいが。
レッド・タロンズ――怒りはよく分かるが、少々嘆くのが早い。獰猛な戦士、操りやす……あ、いや、公正な天罰たろうとしている。それと、振る舞いに視線が集まっている、それとも視線が向いているのはもっと別の……。
サイレント・ストライダーズ――常に見、常に聞き、常に黙したまま。ひょっとすると、奴らは見すぎ、聞きすぎているのか、ん? 我々は奴らを信用していない。もうじき、釈明をする羽目になる……。
シルバー・ファングス――反動的な、よぼよぼの愚者。奴らの支配は過去のもの、だいたい遺伝子そのものが奴らの弱さを世界中に声高に叫んでいるではないか。我々はもう古くさい伝説の平穏な時代に生きていないのだ。裸の王様は、まもなくより有能なリーダーのために座を退くであろう。
スターゲイザーズ――存在しないもののことを考えても無意味だ。哲学的な愚行に費やす時間を減らして、連中のすばらしく印象的な戦闘技術に身を入れれば、もっと全体に貢献することだろう。
ウクテナ――真のガルーは、勝利するのに妖術師の助けなどは必要とせぬ。が、ワームの知識はきっと役立つことだろう。秘密主義的だが、ガルーの利益になるならば、理を尽くした少々の説得で、知識を分けてくれるだろう。
ウェンディゴ――シルバー・ファングどもとよく似ているが、全体的にはまだ少しは望みがある。自己憐憫のぬかるみから脱することができれば、役立つことを示せるだろうな。
 

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