Fianna
Fire in the Head and Heart


「おいおい、若いの、俺の酒が呑めねえってのか? 自家製のとっておきを御相伴させてやろうってんだぜ。な、一杯、一杯だけだ。俺を侮辱したいわけじゃないだろ、な? よーしいい子だ、じっくり味わえ……ん、中身? なに、心配するこたねえさ。純の蒸留酒に、ちょろっと妖精の唾液をな……うわっ、戻すな馬鹿野郎! 貴重なんだぞ!」
 
■伝承者の部族
■ガイアの番人
■妖精たちの朋友
■ケルトの宴会魔人
 
起源
 最初に生まれた部族はシルバー・ファング。そして、二番目に生まれたフィアナのある先祖が、最初に吠え声を上げたのだと言われています。他の部族と違って、フィアナの古い話や伝説の多くがウルフ・タングである理由も、ここにあるといいます。
 この先祖は、自分の兄弟姉妹に歌い方を教えていきます。多くのものたちがこの合唱に参加し、このガイアの歌の合唱は大地と天上にあまねく響きわたりました。
  この喜びと、愛、そして狩りへの叫びを聞き、引きつけられた者たちがいました。大地と夢から生まれた妖精たちです。フィアナと妖精たちは、月光の下で歌に会わせて踊り、また妖精たちも合唱に加わり、フィアナはここからまたインスピレーションを得てきました。
 
 しかし、妖精たちは人間の移住により、遠くの地へ追いやられてしまいました。妖精からの頼みに応じて、フィアナもキンフォークを連れ、妖精の住む地へと旅を始めました。西へと。
 この旅の過程で、脱落したり、東へと向かった者たちはその後キンフォークたちとともに、ヨーロッパのケルト人になったといわれています。
 彼らは何世代もかかって、アルビオンすなわちブリテン島に到達しました。多くのキンフォークはこれ以上の旅を望まず、一緒にここで留まったフィアナたちは、ブラザーフッド・オブ・ヘルネやウェールズのガルーの先祖になりました。
 フィアナの到着以前にもアルビオンにガルーは棲んでいました。ホワイト・ハウラーたちです。最初に激しく衝突し、戦った結果、ホワイト・ハウラーは北のハイランド地方に追いやられます。後には、友情をはぐくみ、部族間の婚姻なども結ぶようになりました。
 
 ついに世界の果ての地、エリンすなわちアイルランドに到達したフィアナは、妖精すなわちトゥアハ=デ=ダナーン、ダーナの部族と再会します。至福の生活を送る中、妖精はフィアナの歌に耳を傾け、フィアナは妖精の言葉に耳を傾けました。妖精たちはフィアナに言葉の力を教えました。名前を与えられた場所や物は、霊的な力が強くなるのです。ワームからあらゆるものを守るため、フィアナはあらゆる物や場所に名前を付けました。これらの名前を思い出し、ガイアを力づけるために、フィアナはそれらにちなんだ伝説を歌い続けているのです。
 
 十分な食物がないので、エリンが支えきれる人と動物の数は限られていました。人口のバランスを保つため、インペルギウムが実行されました。ドルイドと関連づけられる儀式の一部は、このときのことが元になっている部分もあります。人間たちの中にも、このことを熟知していたものたちがいました。ヴェルベナと自称する、魔法使いの男女たちでした。彼らもインペルギウムに参加しました。
 また、大鴉の眷属、コーラックスもインペルギウムに加わり、フィアナ、妖精、ヴェルベナ、コーラックスは血で結びつけられた、強い絆を作り出しました。インペルギウムを続けるために流された多くの血は、大地を生まれ変わらせ、ヴェルベナに魔力を与えました。
 
 フィアナはワームからこの地をよく防衛していました。ビースト・オブ・ウォーによる様々な怪物は撃退し、イーター・オブ・ソウルズには大地に住むものの身体と精神両面を鍛えて対抗していました。
 しかし、デファイラー・ワームはもっと手の込んだ策略を用いてきました。フィアナ同士を戦わせることにしたのです。デファイラー・ワームは、力を望むガルーやキンフォークを誘惑し、屈したものたちを次々にフォモールに変えていったのです。フォモールとの戦争は凄惨なものになりました。顔見知りや肉親同士が殺し合い、また死すらも終わりではありませんでした。ワームはフォモールや寝返ったガルーを何度も何度も甦らせたのです。
 フォモールの首魁はバロールといいました。フォモールとフィアナの間には、何度か講和が結ばれました。しかし、それを破るのはいつもバロール側でした。
 この戦いで頼りになったのはコーラックスたちです。彼らは、いち早く敵の接近を知らせ、あるいはスパイをつとめてくれたのです。
 
 当時のダナーンの王にしてリーダー、ヌアダは戦闘で片腕を失い、その地位を失っていました。次に玉座についた「フォモールの息子」「美しき」ブレスは、バロールの要求に屈しかけていました。傍らで讒言し続けていた、ガリアードの吟遊詩人カイルブレの存在がなければ、事実そうなっていたかも知れません。
 結局は、夢での託宣に従い、銀から腕を作り出し、失った腕を取り戻したヌアダは再び玉座に戻ります。
 「バロールの孫」ルーは、祖父と違いワームの穢れからは無縁でした。他のものたちが恐れたのでヌアダの宮殿に入場するためには、いくつもの試練を要求されましたが、これを突破し自らの能力を示しました。
 若き英雄を手中にしたヌアダは戦士たちとともにフォモールへの最後の戦いを挑みます。この戦闘を「モイ=ツラの第二の戦い」といいます。
 「モイ=ツラの第二の戦い」では、バロールはブレスの治世時に軍備を増強し、その中にはビースト・オブ・ウォーから送られた、ガイアに現れた中で最悪の怪物のひとつ、クローモ・クルーハッもいました。
 クローモ・クルーハッと一対一で戦ったヌアダは相打ちしたものの、ワームに汚されず、誇り高く果てました。
 ルーはバロールと対峙しました。「死の視線」を向けてきたバロールに、若き英雄は「いかずちの槍」を向け、バロールの目に渾身の力で突き刺しました。目を貫かれたバロールは倒れ、死にます。
 そして、ルーはバロールの邪眼を取り上げ、これは我のものなり、と宣言しました。ルーがこの眼をガイアの清水で洗い、清めたため、ワームの汚れは除かれたのです。フィアナがバロールの邪視の力を、逆にワームの手先に使えるようになったのはこの時からです。
 
 フォモールとの戦争の結果、エリンの地からはワームが一掃されました。しかし、戦争に大量の戦士を必要としたためインペルギウムは抑制され、人間の地位も増大していました。ウィーバーの影響が強まりつつあったことも見過ごされてしまっていました。霊的なものは世界から切り離され始めていました。人間の世界の到来が近づいていたのです。
 ワイルドの力が弱まり、この世界にいられなくなった妖精たちはフィアナと約束を交わしました。
「我らは共にワイルドの魂を持つもの、チェンジリングとチェンジングブリード、我らの結びつきと友情は永久に変わらず。我らは、そなたらを常に親族とみなし、等しく接しよう。血の絆は、大地のごとく永遠に残り、変わることはない。我らの話が歌われ続ける限り。」
   
解説
  ガルーの多くの言葉や伝承は、フィアナとして知られるケルト系部族が作ったり、記録してきたものです。もともとはアイルランドやイギリスの島々の出身で、伝承者、歌い手、吟遊詩人として誉れが高いです。だからといって、フィアナの戦士は弱腰だ、というゲット・オブ・フェンリスのようなものたちは教訓を得ることになります。
 
 フィアナにはあらゆる背景がありえるので、狼族や人族の間の部族内での確執はほとんどありません。フィアナのケルト系のキンフォークは、変身を全く自然なことだと考えています。それでも、混血はこの部族においてもひどい扱われ方をします。フィアナは身体の不純さは悪の呪いであると信じており、混血が部族内で権力を手に入れることはありません。
 
 フィアナの吟遊詩人は豊かな記憶で名高く、概してガルーの歴史家でもあります。フィアナの吟遊詩人は、妖精との関わり合いに精通しており、またこの部族はヴェルベナという名の人間のメイジたちとも同盟を結んでいます。
 
 フィアナは一般的に社交的で、パーティ、ウィット合戦、物語をよく好みます。また彼らは、人間とであれ、ガルーとであれ、恋に落ちやすいガルーとしても有名です。こういった関係はほとんどたいていの場合悲劇に終わるのですが、フィアナの吟遊詩人は次から次へと胸も張り裂けんばかりの悲歌を作曲することで、倒錯した楽しみを得ているようにも思えます。
 
 戦士や裁定者として召集されたとき、この部族は獰猛にためらうことなく任務を遂行します。フィアナの獰猛さはガルー中でさえも名高く、キンフォークを愛していますが、インペルギウムを他の部族と同じように苛烈に実行したのです。ワイルド・ハント(妖怪狩猟)の伝説は恐怖とともに記憶されています。
 
 最近では氏族内に分離が発生し、アイルランドに忠誠を誓う者たちがIRAに力を提供し、イギリスのフィアナは駐留軍のために戦ったりしています。エルダーたちは紛争をなだめようと尽力していますが、効果は上がっていません。ベルファストのような大都市でのフィアナの抗争は、その地域がテロリストの温床という評判を助長しています。
 
歴史
 フィアナはキンフォークと強い繋がりを持っています。また、アイルランドやブリテン島にはいくつもの民族が流入してきました。そのため、フィアナの歴史は、これらを色濃く反映しています。
 
 ローマ帝国は、ヴァンパイアの黒幕、フォモールの軍隊、ウィーバーの戦術などを武器にアルビオンをその支配下に置き始めました。一度は、海の向こうへと追放したものの、彼らは闇の力をまた増強し戻ってきました。
 フィアナはキンフォークをケルンにかくまい、森や荒野に潜み抵抗しました。偉大な狩人の精霊ヘルネに助けられ、夜闇に隠れるゲリラ戦術を用いて、妖精が愛するこの地を守ろうとしましたが、ローマの軍勢を阻むことはできませんでした。
 残されたのは唯一、自分たちの土地とピクト人のキンフォークをも守るために戦っていた、ホワイト・ハウラーたちの力を頼みにすることだけでした。
 ホワイト・ハウラーも善戦しましたが、ローマを阻む力を持っていませんでした。しかし、フィアナたちのように、身を隠さず、決して屈しませんでした。彼らはローマを憎み、ワームを憎み、そして自分たちの怒りにとらわれていきます。それこそが、ワームの望んでいたことだったのです。丘の下の洞窟から出てきたとき、彼らはもはやガイアの守護者ではなくなっていました。ブラック・スパイラル・ダンサーズとなっていたのです。
 ブラザーフッド・オブ・ヘルネとウェールズのガルーは、ローマの侵略と戦いました。スコットランドのガルーは、ローマ帝国に加え、ブラック・スパイラル・ダンサーズとも戦いました。時間がたつにつれ敗色は濃くなっていきます。反乱は次々に鎮圧され、キンフォークは虐殺されていきました。
 同胞の助けがなければ、フィアナは滅びていたでしょう。
 助けに加わったのは、ブラック・フューリーズとゲット・オブ・フェンリスのふたつの部族でした。彼らのおかげで、徐々にブリテン島は解放され、またアイルランドは影響を免れました。
 ゲットは、のちに蛮族を率い南下し、ローマを滅ぼします。
 
 バイキング時代に入ると、ゲット・オブ・フェンリスとともにサクソン人がブリテン島の東に入植し始めます。最初のうちは、フィアナはゲットたちを喜んで迎えていました。ところが、ゲットたちは、ブラック・スパイラル・ダンサーズを生み出したのは、フィアナの弱腰のせいだったと責め、ブラザーフッド・オブ・ヘルネと争います。
 ゲットのキンフォークであったサクソン人やバイキングには、フィアナは諸部族をひとつに束ね対抗しようとします。その結果、全ての部族の王の上に立つ、上皇が何度か誕生することになります。そのように対抗しても、アングロ・サクソン人はブリテン島を征服します。フィアナの支配下にあったのはスコットランドとウェールズ、そして海上の島々でした。
 ゲットたちはブリテンを、シルバーファングと征服王ウィリアムが率いるノルマン人に譲り渡し、去っていきます。支配を認めさせようとするシルバーファングと、フィアナは戦います。しかし、ゲットの戦いで疲弊していたため、取引をブラザーフッド・オブ・ヘルネは持ちかけます。ゲットではなくフィアナに力を貸してくれるのなら、ブリーディングストックを共有しよう、と持ちかけたのです。シルバーファングはそれを受け入れました。
 バイキングの攻撃を受けていたアイルランドでは、1014年のクロンターフの戦闘で、ゲットを撃退しました。 ブリテン島のファングを追い出すためのきっかけを作ってやろうと、アイルランドのフィアナにはブリテン島のフィアナをなじったものがいました。しかし、これは逆にブリテンの同族を怒らせます。
 
 1169年には、イギリス王ヘンリー二世は正式にアイルランドを征服します。この裏には、プライドの回復を謀ったブリテン島のフィアナと、それに協力したシルバーファングの姿がありました。とはいえ、アイルランドのフィアナは尊敬と礼儀を持って、扱われました。
 その後、アイルランドでは反乱が何度か起き、独立する地域ができたり、またイギリスに鎮圧されたりを繰り返していきます。
 決定的な変化をもたらしたのは、カトリック教会とイギリス国教会の分離でした。アイルランド人の信教は、カトリックであり続けたため問題が起きたのです。ジェームズ一世は、プロテスタント教徒をアルスター地方に移住させ、解決をはかります。このなかには、ブリテン島のフィアナも含まれました。これがうまくいかず、カトリックたちはイギリスに反乱します。
 
 産業革命時代に入るとイギリスは発展期を迎えます。貿易、植民地へと向かう人間と一緒に各地にフィアナが散っていきました。
 シルバー・ファングは、文明化を望むグラスウォーカーと協力し、力を増していきます。ブラザーフッド・オブ・ヘルネもイギリスの帝国化を後押しし、世界各地のワームを滅ぼしに出かけていきます。
 アイルランドでは、状況はますます悪くなっていきました。1700年代の終わりには、アイルランドのほとんどの土地はイギリスの富豪層に買われ、開発されていきます。アイルランドは、発展するイギリスの食料庫としての役割を押しつけらます。ブリテン島のフィアナは、アイルランドの窮状はアイルランドのフィアナの責任だと考えていました。行き詰まったキンフォークたちは、アメリカ、オーストラリアへ移民し、フィアナもそれに同行します。特にワームが起こしたジャガイモの病気による、1845年と1851年の大飢饉で、移民は増加します。
 各地に移民したフィアナはボーン・ナウアーズやブラック・フューリーズに援助され、それらの地に根付いていきました。
 
 アイルランドでは、イギリスの圧政が引続いていました。税を納めない農奴の家族は暴力を受け、家を焼かれました。グランドチルドレン・オブ・フィオンはそれに刃向かい、人間たちとともにゲリラ戦を開始します。ブリテン島のフィアナは、それを押さえつけ、ユニオンジャック旗の下でのフィアナの統一をもくろみました。
 しかしエルダーたちの尽力の甲斐なく、争いは激しさを増していきました。
 
 チルドレン・オブ・ガイアの働きかけもあって、第一次世界大戦終了後の1922年には、イギリスは、プロテスタントの多い北アイルランド地方を除いたアイルランドに自治権を認めます。シルバー・ファングはフィアナとの争いに疲れていたのです。
 
 第二次世界大戦後の1949年には、アイルランド共和国が誕生します。しかし、北アイルランド地方は、イギリスに引き続き属したままになりました。1970年代に入ると、北アイルランドではカトリックとプロテスタントの対立がより深まっていきます。グランドチルドレン・オブ・フィオンとブラザーフッド・オブ・ヘルネの対立もまた同様です。
 
 これら歴史的に複雑な問題が部族全体を傷つけてきましたが、近年大きな変化がフィアナに見られるようになりました。無駄で不毛な闘争につながりがちだった、人間の政治から離れつつあるのです。エール・ファンダメンダリストたちは、最近の多くの過ちを認め、彼らのキンフォークたちは意見の相違を解決するために暴力的な手段を使うことを止めました。ブラザーフッド・オブ・ヘルネも、構成メンバーが世界的な政治よりも精神的な伝統を支持したため、その質は大きく変化しました。
 結果として、部族はより生産的なこと、とりわけ己が内のワームに、エネルギーを向けるようになりました。癒しが必要な穢された心を持つ者は多く、自力で癒せないものたちは、新たな生き方への助言を「牡鹿」に求めたり、穢れに対して進行中の戦いからの避難するために、アンブラへの探索に赴いています。

 また、最近、アルカディアとの道が偶然開いてしまったため、妖精たちの古い同盟が復活しています。フィアナは、失われてしまった伝説のギフトが、妖精たちの協力で取り戻せるかもしれないと考えています。

 リーやカウンシル・オブ・ソングは、世界規模での部族間の同盟を呼びかけ、自分たちの体質を、受け入れ難くとも、他の部族の好むように変えようとしています。そうして、自分たちの怒りを抑え、ゲット・オブ・フェンリスやシャドウ・ロードの口出しにおよる妨害を、笑いとばそうとしています。もちろんこの英知は、この誇り高い部族の性分に反することなので、この同盟の呼びかけがどの程度成功するかはまだ未知数です。
 
社会

 この部族全体を率いているのは、アル・リー(Ar-Righ)と呼ばれる、至高王あるいは至高女王で、この玉座は伝統的にアイルランドのタラにありますが、時にはウェールズや、ボストンなどになることもあります。個々のセプトは、リー(Righ)と呼ばれる王や女王が率い、フィロドックスとガリアードが作るカウンシル・オブ・ソングが彼らに後ろ盾と助言を与えています。

 フィアナのキャンプには以下のものがあります。

■Grandchildren of Fionn(フィオンの末裔)
 フィオンとは、エリンの英雄フィオン・マック・クムヘイルのことです。フィオンはフィアナのキンフォークでした。アイルランドの王フィオンは、忠実な戦士団を率いていました。この戦士団のことをフィアナ戦士団と呼びます。このキャンプのメンバーは、この英雄とフィオンの戦士団の生きた神話の時代に生きたいを模倣します。国中を放浪し、介入できそうな事件や戦い、手に入りそうな宝物を探しています。新しいアル・リーの旗印、部族間同盟を達成し、ワームに対抗する共通の勢力を作り上げようという希望を胸に抱き、長く親交が疎遠だったセプトを訪問しています。

■Eire Fundamendarist(エール根本主義)
 エール・ファンダメリストは、アイルランドから始まったインペルギウムを再び行うおうとしています。彼らは人口を先史時代のレベルまで減少させることを望んでいます。世界は、間引かなければならない人間があふれているのです。人間の赤ん坊の泣き声はうるさすぎて、ガイアの歌をかき消してしまいます。
 このキャンプ以外のフィアナを悩ましているのは、このキャンプの者たちはベールを保とうとしていないことです。
 
■Chirdren of Dire(ダイアーウルフの子ら)
 チルドレン・オブ・ダイアーは、全てが狼族から成るキャンプです。イギリスやアイルランドにはすでにオオカミは少なく、アメリカでも減少しています。それでも、彼らはタフさで生き残ってきたのです。
 彼らは狩りをヒスポの姿で行うのを好みます。ダイアーは非常に狡猾で、敵に様々な手段を講じます。同情やためらいはいっさいありません。彼らにかかれば、死あるのみです。知っているのは暴力のみ。ユーモアを欠いたフィアナ、というのがふさわしいでしょう。
 またチルドレン・オブ・ダイアーらが得意なのは、「遠吠え」です。狼の舌でのみ可能な、情感たっぷりの澄んだすばらしい歌を歌います。ヨーロッパから失われたオオカミを嘆く歌声は聞くものの胸を張り裂けんばかりにします。
 
■Whispering Rovers(ささやく旅人)
 このフィアナたちは、古ゴールつまりフランスのケルト族から派生しました。ローヴァーズは、故郷を持たず、バンドルと呼ぶ隊を組んで東欧や中欧を旅しています。彼らは、生活を互いに依存しあっています。ジプシーのように、常に移動し続け、同じ場所に一週間以上逗留しません。
 ローヴァーズはヨーロッパ大陸の豊富な知識を持っており、必要となれば他のフィアナだけでなく他の部族もが彼らを捜します。また、森林地帯や都市の環境にも詳しい知識があるので、フィアナの戦士団に斥候として雇われることもあります。
 
■Brotherhood of Herne(ヘルネの兄弟)
 ヘルネとは、牡鹿の角を持つ狩人です。ブリテンのフィアナは、ヘルネを牡鹿の一形態と捉えています。
 ブラザーフッド・オブ・ヘルネは、ほぼ全てがブリテン島出身のフィアナです。キャンプというよりむしろ血族集団です。このガルーたちは駐留軍の側に立っているので、アイルランド系のガルー、とくにグランドチルドレン・オブ・フィオンの敵です。ブラザーフッド・オブ・ヘルネとグランドチルドレン・オブ・フィオンの対立は、ここ百年の間のうちで、フィアナの社会を危うくしているもっとも大きな脅威です。
 いくら時代遅れで、的外れなものになろうと、ブラザーフッド・オブ・ヘルネはイギリスの帝国主義に忠実です。ほとんどのものが、アイルランドの諸問題をやや深刻に受け止めるので、平和のためにという名目で立ち入り、干渉します。
 アイルランド系ガルーとの対立だけが、ブラザーフッドのかかえる問題ではありません。彼らは、ブリテン島を守り、ワームがどこにいようと滅ぼすという信念を持っています。イギリスの帝国主義のおかげで、ブラザーフッドは世界各地にあったワームの支配地域を滅ぼす機会を与えられました。ほとんど同意するものがいないといえ、かつての植民地はイギリス流になることで、植民地化される前よりましになったのです。
 他のフィアナと同じく、ブラザーフッドは自分たちの国を聖なるものと考えています。彼らは、ローマに戦争を挑んだ、ゲリラ戦のエキスパートです。イギリスの英雄たちの多くは、ブラザーフッドのメンバーかキンフォークです。ウェールズやスコットランドのガルーのいくらかも、このキャンプに参加しています。
 
■The Tuatha de Fionn/The Chirdren of Finn(トゥアッハ=デ=フィオン/フィンの子ら)
 トゥアッハ=デ=フィオンは自分たちには、妖精たちとの遠い繋がりがあると考えています。彼らは7年ごとにアンブラにあるアルカディアへの門をくぐり、そこで妖精の諸侯や貴婦人の代表と会します。トゥアッハ=デ=フィオンは、フィアナの中でもっとも妖精の宮廷から愛されている存在です。このキャンプでは、多くのフィアナが忘れてしまった古代ケルトの伝統のいくつかがまだ生きています。
 他のフィアナたちは、現代の妖精たちの理解に乏しく、滅んでしまったと考えているものもいますが、トゥアッハは真実を知っています。現代社会は、チェンジリングのグラマーにとって毒なのです。したがって、彼らは古くからの友のため、できるかぎり押し寄せるバナリティの波と戦いつづけよう、と誓っています。
 
■The Songkeepers(伝唱者)   
 あらゆる形で音楽に関わっているため、ソングキーパーはゆるい繋がりで、主にフィアナのガリアードから構成されているキャンプですが、全ての部族と月相が加入できます。ソングキーパーたちは、各地のケルンを古の吟遊詩人の服装で訪れ、自分の見たものについての歌をシルバーレコードに加えていきます。彼らはどこでも尊敬され、誰も彼らの世話をすることを断りません(特に、素晴らしい歌での返礼がある場合には)。
 
形質
  フィアナはケルト民族の血を受け継ぐ人間と交配する傾向があります。オオカミとしての姿は、ダイアーウルフヤオオカミ犬に似ています。らんらんと輝く緑の瞳に、巨大(特にヒスポー形態)な体つきをしています。毛皮は赤や黒色をしています。
 
テリトリー
 フィアナは伝統的に、泥炭地、高原、それ以外でも人口の少ない地域に住みます。とはいえ、世界中に移住しています。
 
保護対象
 ヨーロッパのフィアナはケルト系の人々を保護します。それ以外の地域に移住したものたちは、田園地帯に住む者たちを保護する傾向にあります。また、フィアナはエンターテイナーや芸術家を保護します。
 
名前
 フィアナとそのキンフォークは、アイルランドの古い言語、ゲール語から名前を取ることが多いです。これによって伝統への忠誠、アイリッシュの人々とその道への愛情を表しているのです。
 例:Finegas、Cormac、Goll mac Morna、Caoilte mac Ronan
 
 また、典型的なガルー・ネームを付ける者も多く、この場合、そのガルーと親和性のある自然現象を示しています。
 例:Screams-in-the-Night(夜に叫ぶもの)、Runs-in-Starlight(星影を走るもの)、Brother-of-Dawn(黎明の兄弟)
 
台詞
 「みんな、大昔のトゥアンの歌を知っているだろう。“我は吹き抜ける熱き風。我はビールの上の泡。我は宴の猪の肉”……もう、こんなのにはうんざりだ! 新しい歌を作ろう、俺はそれを唄う吟遊詩人なんだから」

――アンガス・ファイアスロート、フィアナのガリアード
 
偏見
ブラック・フューリーズ――あのお姉ちゃんたちは、もうちょっとリラックスする必要があるな。一緒に踊るときには気にならないが……言ってる意味、判るかい?
ボーン・ナウアーズ――ちょいと臭いが、随分と誤解を受けている。あったかい食い物と酒で一杯やれば、生涯の友になれるさ。
チルドレン・オブ・ガイア――善意に溢れた平和の一族だが、侮っちゃいけない。やるこたやれる連中だよ。
ゲット・オブ・フェンリス――馬鹿か、気違いのどちらかだな。自分が大事なら、絶対に信用しないこと。血に染まったサイコ野郎どもだ。
グラス・ウォーカーズ――連中はどこにいいバーがあるかを知ってる。信用はできないが、約定を違えない限りは何もしやしないさ。
レッド・タロンズ――おっそろしいサイコ野郎どもだ。ゲットと一緒に狭い部屋の中に入れて死ぬまで戦わせておけば、世界も少しは過ごしやすくなるだろうに。
シャドウ・ロード――自分たちが世界を支配すべきだと考えている、思い上がった馬鹿野郎どもだ。ちょっと世の中ってものを教えてやらなきゃならんかもな。
サイレント・ストライダーズ――流浪の旅で得た面白い物語を聞かせてくれる友人たちだ。よく聞いておけ、必ず何か得るものがあるはずだ。
シルバー・ファングス――尊敬すべき伝統を持っている。歌は良いし、話も巧い。これ以上、何が要る?
スターゲイザーズ――お気楽なもんだ。このまま空想に耽ってりゃ、今にこっぴどい目に遭うだろうな。
ウクテナ――あまり友好的じゃない連中だな。放っておけば、みんな幸せだ。
ウェンディゴ――連中は我々を嫌ってる。我々も連中を嫌ってる。シンプルだろ、え?
 


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