Story 6:Wolf's Discover Fire
 
 登場NPC:
 ブラキオサウルスたち
 「一つの部族」の群れ
 「赤目」
 エルダー・サーペント
 バッファローたち
 マンモスとサーベルタイガー
 ネアンデルタール人
 サラマンダー
 ティラノサウルス・レックス
 ロケアたち
 
 展開:
 カサブランカからのムーン・パスは、やがて巨木の立ち並ぶ森林へと入り込んでいった。ニア・アンブラを覆う霧が晴れ、見上げた梢の上には青空が。上空に飛び上がったロンは、北極から赤道まで続く、ひとつながりの超大陸を見る。パンゲアだ。
 一同はこれまで感じたことのない連帯感を感じる。このレルムに入ったとき、部族の垣根が消失していたのだ。遥か昔に分裂した部族の絆は回復された。彼らは皆、「一つの部族」(*1)の一員だった。
 ピョートルのアルファの地位こそ保持されているが、ここで全員の目を強烈に引きつけたのは、シェナンドーの放つ圧倒的な存在感だった。どう考えても、アルファよりベータの方が格が上である。何故ピョートルなんかのリーダーシップを認めてきたのだろう、と誰もが訝った。
 いかずちの音を立ててブラキオサウルスの行列がやってきて、森の中に獣道を残して去ってゆく。その後から、十数匹からなるガルーの群れが現れた。一同を見て疑わしげな顔をする彼らだったが、シェナンドーを目にするや飛び上がった。「あ、あなたさまはァ」
 アルファは修行中のシェナンドーの後見人であると主張するが、いかんせんシェナンドーのパスト・ライフ5&ピュア・ブリード5の前では説得力に欠ける。ムカつくアルファ。
 パックのクエストの話を聞いた彼らは、そういうことならあそこに行くのがいいだろう、と向こうの山を指す。山脈の下にエルダー・サーペント(*2)という、古い古い大精霊神がいる。ワームのものともガイアのものともつかないが、大変な知恵と力を持っているという。
 彼らは道案内をつけてくれる。プレイヤーたちによって赤目と(適当に)命名された彼は、緑に覆われた谷を横断して、エルダー・サーペントの住処に通じる洞窟へと一同を導く。
 谷間を歩きながら、大地の肥沃さに、空気の清浄さに、生物相の多様さに、狼族であるシェナンドーは圧倒される。古の知恵を持つ動植物の精霊たちが生きて動き回っている。目を転じるたびに新たな驚異があった。これに比べれば、元の世界はごみ溜めのようなものだ。我々はなんと多くのものを失ったのか!
 洞窟は暗く、長かった。延々と地下へ下り続けていくと、やがて大きな空洞に出た。
 巨大な爬虫類の顔がちっぽけなガルーたちを見下ろしていた。
 
「いいだろう、助けてやる」地図を見せてクエストのことを説明した一同にサーペントは言った。「その代わり、やってもらいたいことがある」
 パンゲアは生命力に満ちたレルムだが、それでもワームの侵蝕が皆無というわけではない。ベインたちは不浄な火とワームテイントした動物によってパンゲアを蝕み、この山の近くにも歪められたワームの森が広がりつつあった。エルダー・サーペントの与えたクエストは、その森を焼いて来いというものだった。それが終われば、BSDの領域とシャドウロードの領域のどちらにでも送り届けてくれるという。
「だが、闇の森はただでは焼けぬ」とサーペント。「お前たちは松明を作らねばならない」
「松明?」
「松明を作るために、骨を手に入れろ。バッファローのところへ行くがいい」
 サーペントはふーっと息を吐いて一行を吹き飛ばした。あっという間に長い洞窟を吹き上げられて宙を舞い、落ちたところは山脈の東側の大草原。バッファローの匂いを嗅ぎ付けて群れを見つけ、骨を探していると言うと、一際大きな(*3)雄が歩み出て轟くような声で答える。「向こうの谷が墓場だ。そこで探せ」
 教えられた峡谷は巨大な骨で埋め尽くされていた。いずれも偉大なる獣(*4)と呼ばれる存在の骨である。谷に足を踏み入れると、地面に転がった無数の骨は突然動き出し、騒々しく音を立てながら寄り集まって、野牛のような形になって聳え立った。
「貴様ら! 骨を盗みに来たな!」
「あ、いや、そんな。滅相も」
「(聞いてない)ならば、俺を倒して奪ってみるがいい!」
 どすどすと駆けてくる骨怪物。その体を構成する骨は、一本一本が声高に叫んでいる。「俺だ! 俺だ! 俺を選べ!」
 どれが求める骨なのか。一行は戦闘要員と探す要因とに分かれて連携し、首尾よくそれらしい骨を見つけ出す。骨をもぎ取ると、骨怪物はがらがらと崩壊した。手の中の骨は言う。「次は油だ」
 骨の指し示す方向に行くと、沼地にタールピットが。ねばつく天然アスファルトの池の中、マンモスとサーベルタイガーが咆哮しながら格闘している。やがてマンモスは力尽きたが、サーベルタイガーの方もタールから抜け出すことができず、共に沈んでいった。
 タールピットの傍には一人のネアンデルタール人がしゃがんでいた。
「お前たちも松明を作りたいのか。火が欲しい奴は皆俺のところに来る」
 彼はタールピットを指差し、今沈んだサーベルタイガーの魂を取ってくれば、骨に封じて松明を作ってやると言う。相談の結果、シェナンドーが挑戦することになった。
 息を止めてピットに飛び込み、身体に絡み付く真っ黒なタールを掻き分けて潜っていく。何も見えず、何も嗅げない。ただ暗黒のみが周囲を包んでいる。気付いたときにはもうサーベルタイガーと組み合っていた。固体に近い流体の中、お互い盲滅法噛みついて掻き毟るしかない。ようやく勝利を確信できると、シェナンドーはガルーの筋力でタールを掻き分け、一気に空中へ飛び出して大きく息を継いだ。
 ネアンデルタール人は約束通り、骨にタールピット・サーベルタイガーを封印して返してよこした。骨は言う。「次は火だ」
 さっきまではそんなことはなかったのに、向こうで山火事がぼうぼうと燃え盛っている。一行は顔を見合わせて、気は進まないながらも歩き出した。体中タールにまみれてどろどろのシェナンドーは戦々恐々である。
 炎から逃げてくる動物たちに逆行して、ぼんぼこ燃える山の麓へ。「この山の中に炎の精霊がいる。火を分けてもらうのだ」と骨。
 ロンはフライトパックで飛び立ち、上空から偵察してみることにした。ところが精霊の使うDisorient(道迷わせ)のチャームへの抵抗に2回もボッチし、最も火勢の激しいところへ一直線に飛び込んでしまう。熱い熱い熱いと悲鳴を上げながら火の玉と化すロン。しかし体を張った甲斐はあった。山頂にとぐろを巻く炎の精霊、サラマンダーの姿を見ることができたのだ。「火を」ロンは必死で叫ぶ。「火を分けてください!」
 サラマンダーはぷーっと火を噴いてくれた。松明が着火し、めらめらと燃え出す。安堵の溜息をつきつつ、ロンはコンコルドのように煙を噴いて落ちていった。
 それは「プロメテウスの松明」(*5)と呼ばれる、レベル6の強力なフェティッシュだった。武器としては貧弱だが、その炎は決して消えることがない。また所有者はINTのダイスプールが1つ増え、INT+Linguisticsの判定であらゆる言語を理解できるようになる。グラス・ウォーカーズの間では伝説の宝物なのだが、ロンが持てば嬉々として森を焼き始めるに決まっている、ということで、協議の結果スナフクが持つことに決定した。
 魔法の松明を手に入れた一行は、山火事跡で見つけた大蜜蜂の巣から蜂蜜を手に入れ、傷を回復してからワーム森(*6)へ向かった。異様に捻じれた黒い木々の間で影が踊っている。スナフクはさっそく火を放った。松明から延びた炎の舌は、あっという間に汚染された森に広がっていく。ベインたちの悲鳴が響き渡った。
 火を着けながら、森の外周を巡っていく。しかし木々の向こうから聞こえてくる重い足音が彼らの足を止めさせた。めきめきと木の倒れる音が次第に近付いてきたかと思うと、森の中から一頭の肉食恐竜がその姿を現わした。ティラノサウルス・レックス
 鳥を思わせる動きで体を揺らしながら、ティラノサウルスは丸太のような脚を踏み出す。小さな目がガルーの姿を捉えると、人間を一飲みにできるほどの口を大きく開けて、長々と咆哮を放つ。空気がびりびりと震動する。咆哮の余韻が消えぬうちに、ティラノサウルスは地を蹴った。
 STA15の巨体にはなかなかダメージが通らなかった。ロンのアサルトライフルも豆鉄砲同然。しかしシェナンドーがカイリンドーで脚や目を攻め、攻撃の難易度が下がったところでピョートルが執拗な斬撃を加えるという、これまでにない連携を行なうことで、徐々にヘルスレベルの壁は削れていく。とどめとばかりにピョートルが行なった凄まじい連撃によって、とうとうティラノサウルスは崩れ落ちた。勝鬨を上げる一行(*7)。
 意気揚々とエルダー・サーペントの元へ戻ると、BSDとシャドウ・ロードのどちらの領域に行きたいのか選べと言われる。BSDルートは凄まじく危険だが、武勇を勝ち得ることができるかもしれない。対するロードのルートは、魂を汚される危険があるという。
ピョートルは(当然)ロードの道を主張。BSDルートを主張するシェナンドーと揉めまくる。
 結局、決闘で決めることになった。ベータであるシェナンドーがアルファに挑戦する形である。ピョートルは自身のグランドクレイブを投げて「使え」と言う。Melee技能のないシェナンドーを不利にしておきながら、勝っても負けても自分の体面を傷つけまいという姑息な作戦である。蹴ってもよかったのだが、シェナンドーはPast Lifeで先祖の霊を下ろし、2ドットのMeleeを取ってこの勝負を堂々と受ける。残りRageは両者とも3。
 洞窟の中、エルダー・サーペントの顔の前で二人は対峙する(*8)。習わしに従い、決闘は侮辱合戦から始まった。二人は交互に辛辣な言葉を交わし合う。これでフレンジーに陥ってしまったらその時点で負けになる。だが、どちらも激することはなかった。引き絞られる弓のように、徐々にテンションが高まっていき、最高潮に達したとき、両者は激しくぶつかり合った。
 ダイスプールを刻んで、二人は目まぐるしい攻防を繰り広げる。ハカールとグランドクレイブが打ち合う音が洞窟の中に反響する。銀の刃に対する恐怖はどちらにもない。パンゲアはガルーの生命力を高め、回復力を強化する。銀も脅威ではなくなるのだ。
 シェナンドーはよく戦ったが、しかし、やはり優位に立ったのはピョートルだった。元々Meleeが高い上にイニシアチブにも恵まれて、武器での戦いに慣れていないシェナンドーを真っ向から打ち倒す。シェナンドーは顔を切られ、頭蓋が覗くバトルスカーを負う結果となった。
 こうして一行はロードのルートに向かうことに。アルファの地位の補強もできたピョートルは御満悦。
 エルダー・サーペントは、再び一行を外に吹き飛ばした。今度落ちたのは河の中。そのままどんどん流されて、とうとう海に出てしまう。そこで網に引っ掛かり、ロケア(鮫人)たちの帆船に引き上げられる一行。どうやらサーペントからのお告げで話は通っている様子。しかし数日の航海を共にしたあと(*9)、突然海に突き落とされる。
「ここからは泳いでいけ」
 そんな無茶な、と抗議する暇もなかった。強い潮流に流されて、船から見る見る遠ざかる彼らの耳に、轟く滝の音が聞こえてくる。滝? そう、滝だ。やがて見えてきたのは世界の果て、水平線から虚空へと流れ落ちる大瀑布だった。一行は宇宙の中へ落ちていった。
 
 注釈:
 *1 ……パンゲア・レルムでは部族はなくなり、他部族のギフトを学ぶ際のコストも安く済む。「また来よう」と言い合う一行だった。
 *2 ……宇宙のバランスを司る、発狂する前の「古い」ワームの精霊みたい。
 *3 ……赤カブト級に。
 *4 ……Great Beast。イエティとか恐竜とかメガロドンとかモケレ・ムベンベとか、地球では未知動物扱いされるような。前述のバッファローなんかもそう。
 *5 ……Ways of the Wolfに掲載。データを見るとそんなに強そうじゃないと思うかもしれませんが、レベル6フェティッシュなんてほとんどノールール領域です。プレイヤーのとんちで強くも弱くもなるでしょう(転嫁)。
 *6 ……適当略称。他にもエルダー・サーペントみたいな連中を指す「昔ワーム」など。そういえばグレート・ビーストの説明で使った言葉が頭にこびりついたらしく、エルダー・サーペントは(なぜか)セッション中ずっとモケレ・ムベンベ呼ばわりされていました。天羅零ルールブックの、スパイとかサルベージとかいう単語に激怒する人は、きっとこういうのも気に食わないんじゃろうね。ウヒヒ。
 *7 ……ピョートル曰く「ドラゴンスレイヤーだ!」
 *8 ……「格ゲーみたい」との評。スナフクとワッパーは(何かを)ぽりぽり食いながら高見の見物。
 *9 ……まあ、ロケアのギフトを身に付ける機会もあったということで。
 
 感想:
 アンブラの中で夢っぽい冒険シリーズ(適当)。オープンアドベンチャーはただでさえ指針がないと辛いし、しかも地形すら定まらないアンブラの中なので、早めに目的をはっきりさせてどんどん進ませることを念頭において作ったシナリオでした。
 
 目標設定(松明)
>イベント1(骨探し)
>イベント2(タールでねばねば)
>イベント3(山火事ぼうぼう)
>最後の戦闘(ティラノ)
 
 という感じ。一本道なシナリオですが、地図上のルート選択というクロニクル上の分岐点でもあったので、構造的にはこれで良かったと思います。ただ、ルート選択の際の手掛かりとなるような情報をもっと出すべきでした。反省点その1。
 ラストのシェナンドーVSピョートルの決闘は嬉しい誤算でした。パンゲアの法則を生かしてシェナンドーのカリスマ性を前面に出すことができればとは思っていましたが。これでパック内闘争の火種が燻り出しましたねぃ。
 セッション時間は2時間半くらい。短くて良い感じです。ただ、展開が駆け足になってプレイヤーにとんちを練らせる余裕がなかったのが反省点その2。松明を作るための各イベントには判定方法を決めておいて(たとえばタールピットなら溺れのルール+戦闘)、試練という形で挑戦してもらったのですが、WoDの場合は判定にゲーム的な魅力がないので、STから判定を提示する前に、どうやって試練をクリアするか知恵を絞ってもらった方が確実に面白くなったはずです。そもそも、とんちがなければワッパーの存在意義なんてアレしか残(ぶつっ)。
 あと、ティラノサウルスでまったくパックに痛手を与えられなかったのが反省点その3。敵が一体のときは必ずイニシアチブを取れるように作るべきだし、複数回行動もしやすくすべきでした。おのれ。次こそは(略)

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