2003/04/26 イスター・ゲイに用心を


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 ダディッツ〜〜〜〜! >( ゚∀゚ )/ |    / \__________
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 引越し準備でゴミ捨てたり電話したり荷造りしたり滞納してた公共料金一気に払ったり。引越し先にプチ荷物を置きに行ったついでに映画館行ってみたり。あれ?
 そんなわけで『ドリームキャッチャー』観てきました。
 キング原作というだけで既に地雷映画の匂いが漂うこの作品。なんだか変な映画だという噂を聞いて興味を持っていたのですが、キングスキーの吉井さんは「どうせなんかスタンドバイミーみたいな感じのがあって、最後にしょぼいクリーチャーが出て終わりだろ。映画館に観に行くほどでもねえなあ」と渋い顔。ムゥフーン? そんなこともねえじゃろ、とてこてこシネコンに行ってみたらどうでしょう。
 
 本 当 だ っ た
 
 ……スゲー、吉井さん。言ったとおりだよ(笑)
 
 僕はそれなりに楽しめたんですが、バカ映画に耐性のない人はこりゃ怒るなあ。驚愕のお便所アクションを境に一気に流れが変わるから注意だ。冷やかし半分で観に行くといいと思います。『宇宙幻獣の呪い』143のスクワックディドルがいっぱい出てくるぞ!
 
 ちなみに同時上映のアニマトリックス、『ファイナル・フライト・オブ・ジ・オシリス』ですが、格闘シーンがてんでアレでした。リアルなポリゴン人体をそのまま動かせばリアルな動きになると思ってんのか。格ゲーにも劣るじゃないか。センチネルが大群で出てきたのは素晴らしかったから、まあいいけど。
 『英雄』の予告もやってて、スゲーと思う反面、『グリーン・ディスティニー』みたいな空中操演殺陣もあるみたいで不安。大体あれはかっこいいのか。どうもそうは思えない。
 

2003/04/23 備忘録


 鴻さんに小島寛之の本を薦められたのでメモ。
 
 数学幻視行 誰も見たことのないダイスの7の目
 数学迷宮 メタファーの花園に咲いた一輪のあじさいとしての数学 カントール・レクイエム
 サイバー経済学
 
 なんでもPKDスキーらしく。ムゥフーン。憶えておこう。

2003/04/22 Iraqi Raiders


 ・「博物館掠奪は、カネモチ・コレクターにタノマレたプロの仕業」ウンコ通信)……イラク博物館の美術品掠奪は暴徒の仕業ではなかった!
 ムゥフーン、なんて燃える話だ。そりゃおめえ、なんたって火事場泥棒だからな。(小噺風)

 ・竹内薫『熱とはなんだろう』講談社ブルーバックス,2002.11.20.(940円)
 
 最近非常にユニークな発想の第二種永久機関の話を聞いて、熱力学第二法則をちゃんと把握したくなったので、目に付いた入門書らしき本をぽんと購入。高校数学程度の数式を使って説明している……のですが、すみません、漠然としかわかりませんでした。得るものはあったんだけど、僕にはこの本を論評できる力がありません。ここに書かれていることをちゃんと理解するためには、まだ何層かのレイヤーが足りないようです。何より記号の個体識別ができないのが問題。例えば、理想気体のエントロピーの式は
 

 S = NklnV + 3/2NklnU
 
 だそうですが、こう書いてあっても目がつるつる滑って全然頭に入ってきません。
 

 エントロピー = 粒子数×ボルツマン定数×体積の桁数 + 3/2×粒子数×ボルツマン定数×内部エネルギーの桁数
 
 ……開いてみたら少しはマシか。でも結局ピンと来ないのよね。だめだ。ツールとして最低限の数学アプリを脳に入れないと話にならん。
 あ、本が悪いって話じゃないからね。文章は全体的に平易なので、多少の下地がある人なら解りやすいんじゃないかと推察します。それぐらいしか言えん(がくり)
 
 関連して、C.P.スノーの「二つの文化」の話が出てきてちょっとショッキングだったので紹介しておきます。これは理系と文系の教養が分化しすぎて、まるで異なる二つの文化のようになってしまっている、という有名な話で、それ自体は知っていたんですが、その基準として挙げられていた例は初見でした。文系における「読むことができるか」と、理系における「質量、加速度の定義が言えるか」という二つの問いは、それぞれの領域で同じレベルにある、というのです。そして同じように、「ベストセラー作家の著作を読んだことがあるか」と「熱力学の第二法則が言えるか」が同等であるとも。
 言えますか、質量と加速度の定義。そしてちゃんと理解できてますか。僕はできてません。つまり理系的には本が読めないのと同じぐらい無教養だということで、これは怖すぎます。
 はわわわ。勉強しよう……。
 

2003/04/21 DT@イーハトーヴ


 今月の秘宝濃いなあ。観たい映画がたくさんあって幸せです。
 あと三輪ひとみが美人でどきどきした。
 
 そうだ、岩波ジュニア新書で面白そうな本が二冊ばかり出てたので憶えておこう(メモ)

 ・押野武志『童貞としての宮沢賢治』ちくま新書,2003.4.10.(700円)
 
 「宮沢賢治は生涯独身を貫いた。それを自己犠牲による高邁な思想と捉えず、彼の作品を性的妄想がうずまく不純な産物として読みなおすと、これまでとは違う賢治像に出会える」
 こんなアオリの本を読まずにいられましょうか。
 内容はわりとアオリ通りです。全体としての論旨はあんまり収束していないので、わかったようなわからないような読後感でしたが、賢治の本を読んでみたくなったので、文芸評論としては成功してるんじゃないかしら。
 何より、賢治の時代の性意識とか、童貞観といったディティールが豊富で面白かったです。
 
「性欲の乱費は君自殺だよ、いゝ仕事は出来ないよ。瞳だけでいゝぢやないか、触れて見なくたっていゝよ」
「禁欲は、けっきょく何にもなりませんでしたよ。その大きな反動がきて病気になったのです」
草や木や自然を書くようにエロのことを書きたい
 
 など、西川魯介の漫画っぽい名言の数々も素晴らしい。お勧めします。
 
 ところで、あとがきを見たら、著者にこのテーマで書くようにサジェストしたのは小谷野敦氏だと書いてあってぎょっとした。絶望書店と論争してるあの人か。ちょうど最近の絶望書店日記を読んだばかりだったからびっくりしたよ。件の論争というか喧嘩はここの2002/9/25からはじまっていて、いろんな意味で勉強になるので目を通しておくといいかも。
 で、小谷野敦という人がどんな人なのか興味が出て検索してみたら、ああ! 『もてない男』の人か! 読んでないけど。なるほどねえ、なんか腑に落ちました(笑)
 

2003/04/20 Here Comes The Bride


 代官山で従兄弟の結婚式。いい式でした。
 社会通念上あたりまえとされることをあたりまえにできる人ってすごい。
 
 ところでみんなは挟む? つつむ?
 

2003/04/19 お そ ろ し い 子 ……!


 王子と同居する引越し先が決まって正式に契約。うわー引越し準備しなきゃ―(何事も遅いやつ)
 一応言っときますが王子は男性だ。いや証拠を見たわけじゃないが十中八九間違いない。僕は同居が初めてで、王子は実家生命体だったので一人暮らし自体初めて。ムゥフーン。今更ながら大丈夫かな。
 母親に友達と同居すると報告したら、曰く「大丈夫なの? 彼女とか家に連れて来るときどうするの?」……おかあちゃん、あけすけだッ(笑)
 とりあえず、そんな予定はございませんので、と答えておきましたが。はははは。だいたい同居案を言い出した王子はそこらへんどうなのか。
 
 
 それはさておき、電車に乗ってたら、幼稚園生か、せいぜい小学校入ったばかりかの女の子二人が隣に座ってきたですよ。二人とも膝の上に本を開いて読んでる。おや、なんか見覚えのある文字が視界の隅に入ってきたぜ。"サム"? "フロド"?
 ……指輪だ! はっとして視線を紙面に向けるとそこにはまごうかたなき寺島龍一絵。しかも描かれているのは滝。遠景に山脈。そして月。ヘンネス・アンヌーン!! 貴様その年で旅の仲間を突破したばかりか、二つの塔下巻まで到達しているというのか! 『くまのパディントン』を閉じて既に熟睡状態にある隣の娘と比較しても明らかに年齢不相応、こやつ、できる!
 
 まあ、パイプ草の歴史で躓いてるやつは、農夫ジャイルズでも読んでなさいってこった。
 
 (別にトールキンの児童文学を馬鹿にしてるわけじゃありません、為年)
 

2003/04/18 そっと踏んでほしい、私の大切な夢だから


 あちこちで評判のリベリオン、見てきました。最終公開日の最終回。ギリギリでした。
 どんな映画かはこことかの映画サイトで読んでもらうとして、感想。たいへん面白かったです。なんといってもこの映画の大きな売りはガンカタにあるわけですが、これが実に恰好のいい殺陣で。サタスペのガンダンスってこんなんかなー。時代劇が好きな監督らしく、スピーディーでうるさくない、気持ちのいい立ち回りでした。スローモーションを使ってないのも好感度高し。『誘拐犯』を見て以来、スローモーションに頼らないで頑張ってるガンアクションにはどうしても肩入れしちゃうな。ラストの白ランを連想させる礼服+日本刀での殺陣と、ガンカタ対決もよかったです。
 
 お話のほうも、B級と乱暴にくくってしまうのが躊躇われるほど丁寧に作られています。ディストピアものとしても佳作で、先人の残した轍をきちんと踏襲してるのが好ましい。だってヒロインの名前がメアリー・オブライエンですよ? ちっきしょう(なんなんだ)。
 主人公が感情に目覚めていく過程も素晴らしく、プロジオンを投与しないまま見る朝日の美しさもさることながら、出勤途中の階段で、手袋を脱いで、金属の手すりの感触をそっと味わうシーンが大好きです。すげえわかる。机の上の小物が気になって仕方なかったりするあたりも同系統の演出で、ああこれを撮った奴は俺と同じものを持ってる、という感動がありました。わかるよね? わかんない? わかんなきゃいいや。
 
 ちなみにリベリオンファンサイトと化しているFrom dusk till dawn“二丁偏愛”には関連サイトや感想リンクがいっぱいあるので見てみるとよいよ。そしてガンカタごっこがしたいあなたはこちらへどうぞ。
 

2003/04/17 なんて不敵にジャパネスク


 ・網野善彦『「日本」とは何か 日本の歴史第00巻』講談社,2000.10.24.(2200円)
 
 2000年に講談社からハードカバーで出た「日本の歴史」シリーズの第00巻。大出版社が歴史の全集を刊行するのは何十年ぶりだと、出た当時は結構話題になりましたね。序論に当たるこの巻も、新たな日本像を提示しようという気合が感じられます。著者の網野善彦はシリーズ全体の編集委員も務めていて、斬新な日本中世史像を次々と発表してきたことで有名です。
 
 この本の主張は大きく三つに分かれます。
 まず、「日本」の成立は人工的なもので、自然に生まれたわけではないということ。「だいたいお前ら日本が日本と呼ばれるようになったのはいつからかご存知でいやがりますか」と著者は問い掛けます。「日本が大昔から今の形で存在しつづけたと本気で思ってンのかコラ」と。いやこんな乱暴な言葉は使いませんが。「縄文時代の日本」「弥生時代の日本」、それに「日本は島国である」といった表現に違和感を憶えない、どこがおかしいの? と思った人は是非読んでみるといいでしょう。
 
 次に、日本社会は均一であるというのは幻想以外の何物でもない、ということ。日本は単一民族国家ではないし、その文化にもものすごい差異がある、と。これはエミシの裔である自分には大変納得できる主張ですし、北海道や沖縄の出身者にとっては尚更でしょう。しかしそういった辺境の地に限った話ではなく、本州の東西を見てもまったく違うというのが面白いところです。しかもこの違いはフォッサマグナを分割線とするとか。アダム・カバットの妖怪草子本で読んだ、江戸時代には「箱根の向こうは化け物の国」と言われていたという話を思い出します。当時の人の実感のこもった表現だったのかもしれません。
 「日本人」という言葉は「日本という制度の元に生活する人」という程度の意味しか持ち得ない、と著者は言うのですが、これには大賛成。自分の意識としてもそんな感じです。
 
 最後に、「瑞穂の国日本」というイメージも実像とはかけ離れた虚像に過ぎない、ということ。これまで「農民」とイコールで結ばれてきた「百姓」は単に「民衆」の意であり、その内実はさまざまな技術を持つ多様な人々であった、と著者は言います。たとえば、田畑を持たない貧困者とされてきた「水呑」は、実は漁業、林業、養蚕、酒造などを営む「田を持つ必要のない民」であり、各地と貿易する多角経営の豪商も珍しくなかった、というのはびっくり。しかも自分の窮状を誇張して言うのが、百姓たちにとってはありふれた駆け引きの方法だったらしく、「此三四年打続餓死及人民共難儀仕候」とか習字のお手本の文章になってる! 今までそういう文書を真に受けちゃった研究者って多そうです。
 ムゥフーン。どうも今までの日本の歴史学は農業中心、米中心の史観で、「百姓」=「搾取される貧しい農民」と思って疑わなかったようですね。なんていうか、ま た マ ル ク ス 主 義 か みたいな(笑)。
 
 この人の本って、我々が知っている歴史像を、小中学校で教わったくらいの基本的なところからひっくり返してくれるんですよね。あんまり歴史に興味のない(たかだか数千年、地質年代に比べればちっちゃいちっちゃい)僕でも興味深く読めました。
 
 ちなみにこちらの書評では、網野史観が歴史修正主義の文脈で使用される可能性を指摘しています。ムゥフーン、なるほど。「日本」も「天皇」も最初からあったわけではなく、「始まりがあったのだから……終えることもできる……ッッ」と説く網野史観は、明らかに右翼的な思想とは相性がよくないように思えますが、歴史の正当化に転用することは可能なのか。でも、そんな屁理屈見抜けない&反論できないのが悪い気もするな。気をつけよう。

 ・かはくオープンラボ……/.経由。科博のバックヤード公開! いいなあ。日曜は従兄弟の結婚式に行かなきゃならないので僕は無理なんですが。がくり。時間がタイトなのと、場所が新宿分館であることに注意。
 

2003/04/16 ガクガクブルブル


 ・RLBPS Home PageMiniature Galleryで発見:
 

African wildlife 25mm figures

PREHISTORIC ANIMALS


 

 (;゚Д゚)
 
 (((;゚Д゚)))
 
 ううっ。ほしい……。
 
 by saranoh @ http://members.ispwest.com/mdanford/icons/gollum.html
 
 そうよ、わしらあれがほしいのよ。ほしいよう!
 

2003/04/15 イトチュー


 ・建築家 伊藤忠太の世界展……ワタリウム美術館でもう始まってますな。4/12〜8/31。ムゥフーン、しばらくやってるからといって油断しちゃいけねいな。
 
 
 

2003/04/14 うわあああああ

    /\___/ヽ  ヽ
   /    :::::::::::::::\ つ
 . |  ,,-‐‐   ‐‐-、,:::| わ
  |  、_(o)_,:  _(o)_, ::|ぁぁ
 . |    ::<     ::|あぁ
   \  /( [三] )ヽ ::/ああ
   /`ー‐--‐‐―´\ぁあ
 
 ・KGB喰ってるうぅぅ


 俺たちにできないことを平然とやってのけるッ。そこにシビれる!あこがれるゥ!
 本文にもありますが、補足(2003.04.10)も併せて読まれたい。
 佐藤明機さん(サイト再開されました)の言を思い出さずにはいられません。  
   
 
 「何十分も手に持ってた事がありますが」、「アレは指で押しただけで「ねりゅっ」 と切れてしまふのです」  
 
 ■以下、関連文書(括弧内引用者注、敬称略)  
 
 ・(……)蛭は(「蛭の聖地」とされる、杉並区の)和田堀公園だけではなく、善福寺川を挟んだ対岸の大宮八幡宮の森、背後の河岸段丘の上に広がる公園緑地など、一帯に多く見られるはずであり、是政近くの多摩川河岸には、これまた別種のひるの名所、「蛭々の谷間」が。そして同じく杉並区の善福寺川上流には、線虫の名所も存在するという。佐藤明機曰く、「へどろ舞うどぶ川の底に蠢くものは嗚呼唯是線虫と蛭のみ」と。  
 
 ・こうがいびるを評して(佐藤明機)曰く「佐藤明機畢生の難敵、「みみづ」を捕食するとは・・・・・・何たる天佑ぞ」。  
   
 なお、既にご存知の方も多かろうとは思いますが、KGBについてはこちらを参照のこと。  
   
 はあ。あまりにも衝撃が大きかったので、発作的にイヤ動物学会を再開してしまいました。どうしよう。

 ・「うわあああああ」のAA、何が元なのか判らなかったので調べてみたらこここの絵なる由。オリジナルだったのね。  
   
 ・うわあああああ その1  
 ・うわあああああ その2  
      

2003/04/12 TO BE BY YOUR SIDE


 久々に新宿にお出かけ。いつもどおりイエサブに行って、Transhuman Spaceの火星金星水星サプリ"In The Well"があったので動揺しつつとりあえずスルー。地下で中古メタルフィギュアをチェックするも出物はなし。ムゥフーン、まあ金使わなくてよかったと思いながら、店を出て南口方面へ。タカシマヤタイムズスクエアでWATARIDORIを観るのです。
 しかしなんと華やかな場所でありましょうかタカシマヤ。休日ということもあって一際賑やかで、ここはおれのような者が一人身で来るような場所ではない。拙者人生を誤り申した(とみ新蔵ッ面)。
 
 さて、早めに様子を見に来たのが正解で、整理券を配るほどの大盛況ぶり。満席でしたよ、すごいなー。
 で。地味といえばこれほど地味な映画もありません。2時間ずっと、ナレーションもほとんどなく、いろんな鳥の飛ぶ姿が入れ替わり立ち代わりスクリーンに映し出されるだけです。何らかのカタルシスを求める人にはお勧めしません。しかし見たことのない、しかも非常に美しい映像ばかりなので、僕はとても楽しめました。特にペリカンのかっこよさが衝撃的です。すごい! きれい! 速い! 変!
 
 総じて面白かったのですが、人間の犠牲になる鳥の姿が何度か描かれるのが引っかかりました。鳥に感情移入してる観客にそういうシーンで揺さぶりをかけたいのはわかるんだけど、鳥がハンターに撃ち落とされるその場所には撮影者もいるわけで。鳥が撃たれるのを本当に止めたければ、何かしらできるはずでしょう、カメラでハンターに殴りかかるとか(笑)。でもそうはしない。ただその場を撮影して、「ほら人間ですよー、残酷ですよー」って言ってる。ちょっと感心できないな。そんなんじゃありませんのだ!
 
 ところでここの映画館は初めてでしたが、いいところですね。音響の素晴らしさもさることながら、全体的に豪華な造り。印象的だったのはロビーと館内を結ぶ通路の吸音性能の良さです。後ろでマイクを使って喋っている声が一歩遠ざかるごとにどんどん小さくなるのはびっくり。

 ・とみ新蔵『魔界転生』山田風太郎原作,山口知子脚色,リイド社SPコミックス,2003.5.10.(魔界之巻・転生之巻とも476円)
 
 漫画。コンビニで売ってた廉価版ですが、文庫版も出てるみたい。とみ新蔵だったので買ってみましたら、先生、めちゃめちゃ面白いです。転生して魔人と化した剣豪たちが素晴らしくてですね。荒木又右衛門と柳生如雲斎はかっこよすぎだし、秘伝書を奪おうと柳生の庄に但馬守が乗り込むシーンの見開きには震えました。ムゥフーン。この人の漫画はもっと読もう。
 
 ・舞城王太郎『九十九十九』講談社ノベルス,2003.4.5.(1500円)
 
 清涼院流水(うわっ一発変換で出た)のJDCトリビュート企画で出た舞城の新作。しまった、阿修羅ガールもまだなのに。清涼院流水は『コズミック』と『ジョーカー』しか読んでないし内容忘れてるし大丈夫かなあと思いつつ読んでみたら西暁町かよ。あんまり問題ありませんでした。というかなんだこれ凄いな。怒涛のような言葉遊びと見立ての連続にくらくらします。ついていけてません。なるほど舞城がJDC書けばこうなるわけだ、と深く納得。まあ面白かったです、びっくりしたし。でも舞城初めての人は絶対読んじゃダメだ。たぶん不幸な出会いにしかなりません。素直に『煙か土か食い物』から入ることをお勧めします。
 
 しかし舞城の小説はいつもながら愛がいっぱいで絶望的になります。
 そんな幸せ (´・ω(´・ω・`)ω・`) ありえない。
 

2003/04/09 AKシリーズの匂いがした


・深見真『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』角川書店,2002.12.10.(950円)

 並行世界から銃を召喚する特殊能力者「銃使い」たちが壮絶な銃撃戦を繰り広げるガンアクション小説。あっはっは。面白い面白い。主人公がひねてる割に作者がひねてないのがいいです。こういうことがやりたかったんだろうな、というのがいちいちとても解りやすい(褒めてます)。「銃使い」の設定とかネーミングからして赤さ爆発ですがこれはこれでいいのだ。ちなみにレズとバイとホモばっかり出てくるので耐性のない人は注意。MBCさんなら間違いなく「あわわ、変態だ」というところです。まあとりあえずいずみのさんとかHARD-WIREDさんは読んどけー。
 仮に映画化するとなると監督は誰がいいかな。真っ先に思いつくのはジョン・ウーだけど、家族愛がない話だからなあ(笑)。三池崇……はちょっと違うような。もっと若さが欲しい。故人だけど、深作欣二? 漫画だったら作画はあの人がいいな。Ordinary±の、えーと、高橋慶太郎か。平野耕太だとまんますぎる。
 同じ作者が富士見ミステリー文庫から出してるシリーズも試してみようと思います。
 結構なバカミスだという噂。

・冲方丁『微睡みのセフィロト』徳間デュアル文庫,2002.4.30.(505円)

 うぶかたとう、と読みます。この人の小説を読むのは『黒い季節』以来。こどものもうそう掲示板で推薦されてたり、他でも評価が高かったりしたので買ってみました。おお。いきなりマーク・エルフと来たよ。超能力戦は新味が利いてて、人命の軽さはなんだかワイドスクリーンバロック風味。いいですな。
 寡作なことで知られるこの人ですが、今年はえらい大量に本を出すらしく(既に何冊か出ています)、楽しみなことです。

 ・満水のタイ……俺ニュース経由。美しい。ここの地図かっこいいな。

 ・紙糸トロケ……ウホッ!いい男…経由。すばらしい。
 ティプトリーの挿絵とか似合いそうだと思いましたがいかがか。
 

 ・松屋の新メニューの鶏つくね定食、ビューです。おいちい!(ハシュハシュ)

2003/04/07 藤子FはニューウェーブSFだという話


 ・R.E.ハワード他『不死鳥の剣』中村融編,河出文庫,2003.3.20.(850円)
 
 河出から出たヒロイックファンタジーのアンソロジー。ハワード、ライバー、ムアコックといった面子の殺伐とした作品ばかりで、読んでて懐かしさを覚えます。半裸の蛮人と女戦士がソーズ&ソーサリーでハック&スラッシュですよ。久々にこういうのを読むと、自分がファンタジー好きなんだなあと実感します。陳腐な筋立てをねじ伏せる無闇なパワーがたまりません。ヴァンスの短編だけはものすごく変だったけど。ヒロイックなのか、あれ(笑)。
 個人的には「サクノスを除いては破るあたわぬ堅砦」が読めたのが嬉しかったです。「摩由利の本棚」で知った話。コナンは実は初めてかも。雰囲気いいなあ。長編も読んでみようかな。パルプ臭さがぷんぷんする「サファイアの女神」なんかも結構好きです。
 ハリーポッターなんかでファンタジーに出会った少年少女にとっては、この手の野蛮な作品は新鮮なんじゃなかろうか。幸せな出会いがあればいいなと思います。
 
 ・J.G.バラード『ウォー・フィーバー 戦争熱』飯田隆昭訳,福武書店,1992.1.15.(1533円)
 
 タイトルかっこよすぎのバラード短編集。面白かったです。翻訳はよくないですが。
 94年に『第三次世界大戦秘史』と改題して文庫化されているようなので、そっちの方が手に入りやすいかもしれません。

ウォー・フィーバー……もうタイトルだけでおなかいっぱいです。
第三次世界大戦秘史……よぼよぼのレーガン大統領の健康状態がアメリカ国民を一喜一憂させる中で、人知れず進行する第三次世界大戦。否応なく誰かさんの崩御を思い起こさせる話で、いかにも89年に書かれた小説という感じ。
夢の船荷……汚染物質運搬船が漂着した島に奇怪な生態系が花開く。長編になりそう。
攻撃目標……帰還した宇宙飛行士を暗殺しようとする精神病患者。脱獄方法が面白い。これは映画で見てみたいな。
エイズ時代の愛……低下する一方の出生率を上げるために健康な若者に課せられる国家への奉仕義務。OKAMA絵で想像できてしかたがない。
世界最大のテーマ・パーク……統合後のEUで、地中海沿岸の金持ち観光客が凶暴な新民族と化す。おなじみバラード節だけど好きだ。バカすぎる。
巨大な空間……妻との離婚を機に徹底的な引きこもりを決意した男。一歩も家を出ないまま、いかにして食料を調達するかという問題に具体的な解答を示していて興味深い(笑)。

 印象的だったのはこんなところです。
 読んでて思ったんですが、バラードって基本的に藤子不二雄絵じゃないですかね。Fのほう。この本だと、「第三次世界大戦秘史」「尋問事項に答える」「未確認宇宙ステーションに関する報告」「宇宙時代の記憶」あたり、かなりF度が高いと思うんですけどどうでしょう。
 
 ・吉田一彦『騙し合いの戦争史 スパイから暗号解読まで』PHP新書,2003.2.14.(700円)
 
 いろんな欺瞞作戦を紹介した本。どこの国も結構奇想天外なことをやっていて面白い。相手が予想もしないこと、「まさかそんなことをするはずがない」ということをやらなきゃならないから当然だけど。人が大勢死ぬえげつない作戦も多いです。ものすごい外交戦が繰り広げられている今、どんな作戦が計画されて実行に移されているのか知りたくてたまりません。めちゃめちゃ面白そうだ。
 以下、自分用メモ。
 
 ・John Hughes-Wilson "Military Intelligence Blunders"
  情報戦の敗者
 ・Glenn H. Whidden "The Attack on Axnan Headquarters: An Espionage Operation"
  企業の警備員や建築作業員が諜報戦において重要な役割を果たしている。
 ・Bruce D. Berkowitz, Allan E. Goodman "Best Truth: Intelligence in the Information Age"
  概観をつかむのにはよさそう?
 ・Jeffrey T. Richelson, Jeffery T. Richelson "A Century of Spies: Intelligence in the Twentieth Century"
  簡潔なガイドラインとのこと
 ・Michael Dewar "The Art of Deception in Warfare"
  評判いいみたい

 ほんとにメモだけです。ここに書いとけば読み返すだろうと。
 しかし洋書に手を出す前に片付けるべき本が山ほどあるな……。控えよう。
 

2003/04/04 澱粉


 ・WATARIDORIがすごい面白そうですよ。ムービー見てたら行きたくてたまらなくなった。
 
 ・コートニー・クラムリンの単行本が出ているようでしてね。くわっ。
 
 ・ジャック・ウォマックファンサイト。超充実。必須化。スレ
 
 ・西川魯介の新刊『野蛮の園』ブックした。A先輩、AO。
 

2003/04/03 世界タービン


 ・バリー・アイスラー『雨の牙』池田真紀子訳,ソニーマガジンズヴィレッジブックス,2002.1.20.(760円)
 
 日本通のアメリカ人作家による、東京を舞台にしたサスペンス。主人公は日米ハーフの殺し屋で、冒頭では混雑した山手線車内での暗殺が描かれます。古本屋でそこだけ見て、サタスペっぽい話かなと思って購入。スワロウテイルのサードカルチャーキッズみたいなのを期待したのですが。
 読んでみると、予想に反してちゃんとした小説でした。日本描写も凝っていて、変な部分もほとんどありません(その分「奇妙な果実」も少ないので、そっちを期待するとダメかも)。真っ当な現代日本もののサスペンスって、考えてみると貴重じゃないでしょうか。
 ネットで検索してみると、評価は結構高いです。ヴィレッジブックスの初期(『さらば、愛しき鉤爪』と同時期)に出た本で、大型新人として出版社側も力を入れてたみたい。ミステリ方面には暗いので知りませんでしたが、それなりに評判になったのかな。実際、続きが出たら読んでみたい作家です。
 
 ・バリーアイスラードットコム
 
 ・茶木則雄VSバリー・アイスラートークショー
 
 作中一つ気になったのが、これは本筋とは関係ないんですが、ある日本人のキャラ(「アメリカ嫌いを公言しながら、すべてにおいてアメリカの影響を受けている輩」と形容される)が、アメリカは平等と市場原理を信奉して自分の理想を世界中に押し付けてる、といって非難するんですね。ムゥフーン、まあ実際そうだよな、とすんなり流して読もうとしたら、主人公はこれを「狂信的な右派」の言いぐさだと断じてしまう。ウッソ。違和感憶えなかったんですけど、おれ右翼?
 
 不安になって考えてみましたが、どうもそんな気はしない、というか俺は左も右もちんちん腐って死んでしまえと思っている人間です。じゃあやっぱりアメリカ人ってほんとに自国の文化がナンバーワンだと思っているのか、いやあねえ。と、ここで安易な嫌米に流れるのはちと早い。
 確かに連中の自国ショービニズムは目につくけど、例えばどこかの国に「日本のマンガやゲームが俺んとこの伝統文化を汚染しとるんじゃゴルァ」とか言われたら、我々はどう思うか。素直に謝る人は少なくて、やっぱり何言ってんだこの右翼と思っちゃうんじゃないでしょうか。
 
 現実問題、文化には「強い」ものと「弱い」ものがあります。したがってその伝播は非対称なもので、文化が「弱い」側の社会には、資本主義文化を伝統を蝕む脅威として位置付ける人がたくさんいます。ところが「強い」側には侵略という意識は全然ない。多少は意識的な文化輸出があるにせよ、基本的に、文化は勝手に伝わっていくものだからです(これをミームという文脈で表現する人もいますが、ミーメティクスだけでは上記のような文化伝播に伴う社会的な諸々の変化を記述しきれないと思います。もしかするとそういう研究をしている人もいるのかもしれませんが)。
 
 これは「強い」側が謝ってどうにかなる問題ではありませんし、「弱い」側が「強い」文化を遮断することは実質的に不可能です(ムンドゥムグ・コリバの失敗を思い出されたい)。では「弱い」文化が「強い」文化に勝つためには、一体どうすればいいのか。答えは一つです。自分の文化を「強く」して逆襲するしかありません。アメリカ人の文化侵略にブーブー言ってないで、既存の資本主義文化より「強い」、魅力的な文化を作り出すことに知恵と情熱を注げばいい。
 
 このように考えると、外国文化の排斥を唱える国粋主義に魅力はまったくなくなります。国粋主義の元で個人にできることは何一つありません。しかし文化を作り出すことを考えた場合、個人は無力どころではなく、文化創出のエンジンそのものになり得るのです。文化を作るのは国家でも企業でもなく、我々一人一人の人間に他ならないのですから。
 
 だから、ああ、大丈夫よ、タービンがまわるわ!
 

2003/04/01 エイプリルフールだが嘘は言わん


 結局テレホンカード買いました。


 個人ニュースサイトじみた小ネタの羅列をせんとしてするなり。しかも数日遅れのニュースがほとんどだ。

 ・英ビッグブラザー賞……AMI NewS経由。ビッグブラザー賞! なんて魅力的な名前だ。関連記事を見るとウィンストン賞なんてのもあるらしい。しかしトロフィーのデザインはつまんないな。ここはやはり、「偉大なる兄弟」のポスターとテレスクリーンが欲しいところです。

 ・ボウリング・フォー・コロンバインの嘘(2003/03/26, 27, 28)……Beltorchicca経由。あっはっは、やるこたやってんのね。ムーアにとっては前回書いたニュースに続く不利な材料……ですが、あんまり怒る気はしません。だってツクリが入ってるって言われればすんなり納得できるような内容だったもの。むしろその辺知った上で観に行くのがよいのではないかと。面白いよ。

 ・犬の島……Weekly Teinou 蜂 Woman経由。犬が人間のパートナーという生態的地位から「解放」されて孤島の楽園に。という、口が悪い人ならいくらでも罵倒できそうな動物愛護団体の活動ですが、曇り空の下、波打ち際に犬が群れている写真(今は見られなくなってる?)にガッツリやられてしまった。破滅SFみたいだ! もちろんこの島の生態系は不自然極まりないものだし、集められた犬たちも愛護団体のサポートが途切れたが最後、共食いの挙句に大半が餓死する運命にあるのだけれど、絵面にやられたせいでなんとなく気に入ってしまったのでした。

 ・指輪物語ファンサイト ホビット庄……FOTRではカットされたトム・ボンバディルと塚山のシーンを漫画化しようという企画を立てています(1/30参照)。絵柄がかっこいいので期待期待。ちなみに僕はこの前の土曜日に4回目のTTTを観に行きました。吹き替えとしては2回目。ガンダルフのVSバルログ、サルマンの演説、アラゴルンが鎧着るとこ、エントの行進開始、ひよどり越えの逆落としの各シーンは何度観ても燃えてしまいます。もうだめだ。

 ・にわとり装填! ファイア!……時速200マイルで鶏を撃ち出す恐ろしい兵器。うそ。航空機へのバードストライクの実験のために作られた装置でした。これで撃たれて死ぬのはかなりの屈辱じゃなかろうか。

 ・「隣の人たち…」 日韓関係の論争点を簡単理解……俺ニュース経由。秋田には韓国人差別というのが(少なくとも自分の育った周りには)まったくなかったので、2chやヤフー掲示板での争いを見るたびびっくりしていました。あの双方のエネルギーはどこから来るのか、全然ピンと来ないのです。折りに触れて理解しようと努めているのですが、このサイトは頻出する議論をよくまとめてあって興味深かったです(親ページはこちら)。
 ピンと来ない問題にもう一つ部落差別というのがあって、これも秋田では希薄です。たとえばこんな。うちは父親に何かの機会で教えてもらったけど、学校で習った記憶もないし、知らないままの人も大勢いるんじゃないだろうか。網野善彦が、東北では同和といっても通じない、童話のことかと思ってきょとんとされる、と書いてたけど、実話です。「部落」って言葉は集落の意味で普通に使われてるし、タブーって感じが全然ないのよね。なのでときどき何のはばかりもなくそういう話題に触れて、周囲の人をぎょっとさせてるかもしれず。すまねえ。
 そんなわけで、いま現実に差別に苦しんでる人は秋田に引っ越すといいのに、とつい思ってしまいます。だめかしら。秋田市を離れた地方都市は人口減ってるから狙い目だよ。僕の故郷なんて駅前商店街がほとんど貸し店舗になってて、車も人も少なくて、雪のちらつく冬の午後には、まるでロシアの街の郊外みたいだよ。
 故郷にいながら異国情緒。過疎でもポジティブシンキング。

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