2003/03/01 TTT吹き替え版感想


 ・吹き替え版、非常によい出来でした。FOTRの吹き替えは、録音方式が違うためでしょう、音楽や効果音が大きいと声が聞き取りにくくて残念でしたが、今回はそんなこともなく、クリアで聞き取りやすい音質でした(ただし、今回見たのはデジタル上映の映画館だったので、もしかするとフィルムとは条件が違うのかもしれません。心なしか映像も鮮明だったように思います)。
 
 ・登場人物の言葉遣いが、全体的に丁寧に、古風になっています。
  例1)「オルサンクとバラド=ドゥア、二つの塔の同盟に敵うものがありましょうや」
  例2)「ローハンの王はアラゴルン殿、そなたではなく、余、セオデンである!」
 このため、昨今珍しく、たいへん品格のある映画になっています。由緒正しい家柄のキャラが多いTTTですから尚のこと。古風な言葉が飛び交うのを聞くのは気持ちいいです。
 
 ・FOTRでも感じたことですが、吹き替えは情報量が豊かです。悲しいかな英語のヒアリングができない身、字幕版を2回見ていたにも関わらず、こんなこと言ってたのかと初めて気付く場面が多々ありました。これに伴って、各キャラクターにも深みが増しています。特にギムリは字幕版より生き生きしています。また、木の髭がアイゼンガルド攻撃を決断するシーン、これまではいささか唐突な印象でしたが、吹き替えではピピンの微妙な口調の変化が効いていて、さほど気になりませんでした。他にも字幕の字数制限で削ぎ落とされたニュアンス、ディティールが幾つもあって、3回目にして新鮮な気持ちで見られました。
 
 ・当然のことですが、吹き替えは演技をしますから、その分感情表現も豊かです。スメアゴルの口調は確かに瀬田訳を反映していて、製作陣の愛が感じられますね。「いいホビットさんだよ」って言うし!(ハァハァ)
 一方、原作とはキャラクター作りからして結構違うサムは、吹き替え版では前にもましていいやつになっています。どうしてそんなに献身的なんだサム。たまらん。
 
 ・あと、これは吹き替え別に関係ないですが、ちょうどPS2の指輪ゲーをやってるもので、画面にウルク=ハイやワーグが出てくると、反射的に倒し方を考えてしまうんですよ。それだけゲームがいい出来だったということでしょうか、ちょっと面白かったです。
 

2003/02/15 TTT先行上映感想


 ・オープニングからモリアの地底でのガンダルフVSバルログ戦! 原作ではさらっと流されてるシーンが、映画では見事な見せ場にグレードアップしています。しかも後のガンダルフの回想では、ジラク=ジギルの高峰での戦闘まできっちりと! 投げ落として倒すし! 死んで宇宙行くし! 復活したら全裸だし! ガンダルフ全裸キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! いやさすがに全身は出てませんでしたが。前から冗談半分で「ガンダルフ復活したらすっぽんぽんなとこまで再現するといいなあ」とか言ってたのが、まさか本当になるとは。これだけで僕はこの映画を好きになりました。
 
 ・荒涼としたエミン・ムイルから死者の沼地をさ迷うフロドとサム。レンバスの出てくるシーンは相変わらずCMみたいです。ついに姿を現したゴラムはほぼ全裸(またか)に近くて、目の大きい顔つきもあってかなりグロテスク。予備知識がない人が見たら結構ぎょっとするんじゃないでしょうか。動きもかなり独特で、モーションキャプチャーで頑張ったアンディ・サーキスには拍手。ゴラムは全編通じて存在感がありましたね。気持ち悪くて、あわれで、みじめったらしくて、ちょっとかわいい。演技が類型的じゃないので、非常に生っぽい印象があります。既存のCGキャラクターとは一線を隔していると言っていいのではないでしょうか。喉の鳴らし方だけはちょっとイメージと違って、咳き込むみたい。これって他の人はどんな感じに想像してたんだろう。
 字幕ではフロドが「つらぬき丸」(ルビはスティング)って言ってます。ゴラムの台詞も瀬田訳を踏まえていて、「わしら」「いとしいしと」「いいスメアゴル」。個人的には原作どおりの表記にはそんなに拘らないですが、これは嬉しい。
 
 ・ナズグルの乗騎、翼持つ獣。ジョン・ハウ絵から抜け出してきたようで、再現度高いです。あんなのに頭の上飛ばれたら、そらおっかないわ。終盤、オスギリアスでは接近したカットもあって嬉しかったです。
 
 ・ローハンでの追跡行。原作のこの部分はとても好きなので、脳内のイメージを具現化したような映像に感動してました。もうこの映画に関しては恥ずかしげもなく感動とか言っちゃうぞ。
 アラゴルンのレンジャーっぽさ、かっこいいです。「エルフの目で見てくれ」って台詞、好きです。平原を疾駆するローハンの騎士団は絵になりますね。映画全体を通して騎馬のシーンが多く、ファンタジーを見てるなあという気になれました。野営中のオークを襲うシーンではパルティアン・ショットまで披露。騎馬民族!
 メリーとピピンを攫ったオークとウルク=ハイ、ちゃんと仲間割れ(「メニューに肉が戻るぞ!」)するんですが、ここは対立関係が判りにくくてちと不満。SEEでの補完を望みます。やけにいい面構えの奴らが多いので勿体無い。
 
 ・ガンダルフ、ストレートパーマで復活。ここのアラレゴギムの早まりっぷりは笑ったのですが、原作読み返したらそのまんまでした。そして飛蔭! 字幕は「飛蔭」、ルビはシャドウファックス。つくづくかっこいい名前だよなあ。
 
 ・黒門。行進してくる東夷、たまりません。芸が細かいことに、鎧の意匠はオークたちとはまったく異なります。門の開閉ギミックは子供のように喜んでしまった。ファンタジーだ! エルフの外套で隠れるシーンは、まるで忍者ものみたいで可笑しかったです。あの地面で完全に隠れるってのも変だし、まあいいのか。
 
 ・黄金館の草葺の屋根は、日が当たると本当に金色に見えます。グリマはエオウィンに惚れてたのね。エオウィン、写真写りはものすごく悪いけど、動いてるときれい。「おまえの言葉は毒です!」言ってみたいな、こういうこと。セオデンの復活っぷりはすごい極端、しかも早っ。だんだん俺にもPJテイストの何たるかがわかってきたぞ。
 
 ・リヴ・タイラーのアルウェン、みんなそんなに嫌いかな。僕は特になんとも思わないんですが。娘に淡々と陰鬱なことを言って聞かせるエルロンド、カッコイイ。あれだけの長台詞の中に、一個も前向きなことがないんですよ。ここの映像は追補篇のもので、素晴らしく美しい。娘を見送るエルロンドの回想にはガラドリエル様が。やっぱケイト・ブランシェットきれいだよなあ(ぽわわん)
 
 ・兎を捕まえてきたりして元気いっぱいのスメアゴルに比べて、フロドはどんどんだめになっていきます。ここでのスメアゴルはすごく可愛い。サムとの掛け合いもいい感じです。そして森の中からやって来る南方人とオリファント! じゅうキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! ミナス・ティリス包囲戦にはこいつらいっぱい出て来るんだよな。楽しみ楽しみ。南方人の服装は東夷とはまた違って、ちょっと派手でかっこいい。その南方人に矢を射掛けるゴンドールの野伏たち。ここはジョン・ハウの「ハラドのムーマク」の絵面("mumak"でGoogleのイメージ検索するといっぱい出てくる絵)で見たかったな。フロドたちはファラミアに捕まって、兎肉のシチューは食べられずじまい。もったいない……。

 ・ファラミアにも成長が必要だという監督の意向があったとかで、映画のファラミアは猜疑心強め。"Your bodyguard?" "His gardener."には笑ったけど、これは駄洒落なのかな? 「夕日の窓」はもっとじっくり描写してほしかった。これもSEE待ちかな? 魚を獲っているスメアゴル、かわいいよ。かわいいさかなみたいによ。かわいそうによう!
 
 ・エントの寄合い、エントムートって言うのね。ここももっと見たかった! エントに付き合っていたら日が暮れるから、しょうがないんでしょうけど。
 
 ・1万の軍勢を前にしたサルマンの演説。"A new power is rising. It's victory is at hand !" か、かっこいいよう。たまらん。調子のいいときはいいんだけどな、この人は。
 
 ・ヘルム峡谷へ向かうセオデン王たちには騎狼隊が襲い掛かります。ワーグ、強そうなんだけどデザイン的にはちょっとさびしい感じ。騎兵と騎狼隊との戦闘で見ごたえのあるシーンなんですが、ツッコミどころがいくつか。特にレゴラス、あの騎乗方法は一体何事だ。あと、なんでアラゴルン崖から落ちるの!? 川を流れてるシーンは仮面ライダーギルスを思い出してめちゃめちゃ面白かったよ。
 
 ・角笛城、ハルディア率いる弓兵部隊が入城する際の音楽、マーチ風にアレンジされたエルフのテーマがよかったな。サントラに入ってない曲でした。しかしこんな物凄い攻城戦が見られるなんて! ヘルム峡谷を埋め尽くして進んでくるアイゼンガルド軍! モルドールの戦争機械! そして聖火ランナー! 難民が逃げ込んだ地下洞窟はアグラロンド燦光洞かしら。ここでもレゴラスのいい気になりっぷりは物凄い。なにあのスケボー殺法。レゴラスが殺せなかった敵って、今のところ聖火ランナーだけじゃないのか。ギムリとの首級上げ競争も、いきなり最初から差が開いてるのでびっくりしたけど、読み返したら原作でもそうでした。ギムリが頑張って追い上げて、最後には一点差で勝つのよね。SEEではちゃんと勝たせてあげてほしいな。そして夜明けに丘の上に現れるガンダルフ、急坂を怒涛の勢いで駆け下りて槍ぶすまの中に突撃する騎兵、先頭にガンダルフを乗せた飛蔭の白! ああ、もう、このシークエンスは本当に美しくて言葉になりません。
 
 ・エントたちのオルサンク襲撃、壮観です。「アイゼンガルドに夜来たる」ってのはここでの台詞かな? ダムを壊すところが圧巻。どうせ進軍するならエントムートで決めとけばよかったじゃないとか、エントの行軍歌がないのが物足りないとか、フオルンは結局出てこないのかとか、言いたいことはあるけども、まあいいや。サルマンのおろおろしっぷりがよかった。あとはもう落ちるばかりなんだよね、この人は。
 
 ・オスギリアスはおそろしく彩度がなくて、なんだか二次大戦ものの戦争映画みたいな印象が。面白い演出だと思いました。かなーり弱まってきたフロド、とうとうつらぬき丸をサムに向けます。このシーンはいいなあ。その後のサムの語りも、映画としては減点かもしれないけど、原作読者にはぐっと来るとこじゃないかしら。ファラミアが改心して三人を解放してからの会話もそう。一見『旅の仲間』と同じ終わり方のようだけど、今度は最後にゴクリのモノローグでシメ。
 
 ・エンディングテーマは"Gollum's Song"。字幕に一つ文句があるとすればこれかなあ。ここは是非ゴクリ語で翻訳してほしかったよ!(実際、2chでゴクリ語訳を見たことがあります。上手かった)
 
 
 面白かった、本当に面白かった。おそろしく濃い、贅沢な映画でした。3時間通して感激で打ち震えてました。来年のROTKが楽しみなのもさることながら、早く二回目が見たくてたまりません。好きだー。
 

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